設計はデジタルリレーの時代へ、日建設計の病院設計にみる意匠・構造・設備のBIM連携Archi Future 2022(2/3 ページ)

» 2023年07月13日 06時37分 公開
[川本鉄馬BUILT]

設備情報のプロット図を意匠モデルに入れ、意匠と設備の手戻り解消

 浅川氏が示したのは、大学病院での設計事例。物件は、地上8階/地下2階の大規模総合病院で、一般病棟以外の診療・検査・手術室などといった病院の中でも複雑な部門となる。また、約7万平方メートルの中に、約3000室もの病室を配置する高密度な設計で、さらに手術室を含むため、換気や衛生面での要求も高かった。

 本案件では、意匠と構造の設計にRevit、設備にはRebroが使われた。異なるソフト間で設計情報をやりとりしたが、デジタルリレーを設計の各フェーズで実現することで、設備部門では早い段階から計算を開始し、基本設計から積算までを完遂した。

 手術室の設計では、清浄度や室圧、バイオセーフティレベルなど、多様な条件を満たさなければならない。病院全体でみると、こうした条件は部屋ごとに異なり、管理が煩雑で、設計プランの進捗や更新によって変更されることも珍しくない。そのため、「同じ屋根の下にいながら、意匠/設備間で情報の不一致がたびたび起きていた」(浅川氏)。

 改善のため、今回の事例では“意匠BIMのモデルに設備諸元のBIを入れる”という手法を採り、プランニングと設備計画の整合性を高めた。

 意匠BIMに設備諸元を入れておくと、設備情報をそのまま保持しているので、設計が進むにつれ、部屋面積の拡張/縮小や壁位置の変更があっても、設備情報を更新する必要がなくなる。また、意匠を変更するごとに設備情報も図面上で色分け表示しておけば、クライアントにBCP運用時の説明をする際にも役立つ。

設備諸元のBIを、あえて意匠BIMに入れる。プラン変更にも追従し、空調・換気・医療機器用電力なども色分けで表示 設備諸元のBIを、あえて意匠BIMに入れる。プラン変更にも追従し、空調・換気・医療機器用電力なども色分けで表示

 カラーによる可視化は、納まり検討でクリティカルな箇所の早期発見にもつながった。これまでは、熟練設計者の勘や経験で回避されていた手戻りも、変更前後の色分けで可視化されたことで解消された。

 設備情報を意匠BIMに採り入れる手法を浅川氏は、「意匠のRevitモデルに設備が相乗りした」と話す。具体的には、設備部門が意匠BIMにアクセスし、プロット図を作成している。

 従来方法では、プロット図の作成作業は建築図がまとまってからスタートする。そのため、どうしてもワンステップ遅い図面になってしまう。当然ながら、基本設計が変わればプロット図も変更しなくてはならない。

 意匠BIMと設備のプロット図が連携したことで、意匠の修正と設備プロットの編集が同時に行えるようになった。浅川氏は、打ち合わせの場でクライアントの要望を反映して、モデルやプロットを即座に変更可能になったことで、早期の合意形成や設計業務の効率化がもたらされたと説明する。

設備諸元のBIを、あえて意匠BIMに入れる。プラン変更にも追従し、空調・換気・医療機器用電力なども色分けで表示 設備プロットを意匠BIMの詳細図ビューに入力。意匠と設備の連携で、クライアントの前で内容変更や合意形成が可能に

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