野原ホールディングスは、建設業界従事者を対象に、建設DXに対する意識を独自に調査した。その結果、デジタル化が遅れている業務プロセスとして、「施工・専門工事」「施工管理」がトップ3に上がった。
野原ホールディングスは、「建設DXに対する意識調査」を実施し、2023年4月6日に調査結果を公表した。レポートでは、前回調査で「人手不足」「高齢化による技術継承」が業界課題として顕在化した中、課題解決には何が必要かを考察している。
■建設業界の課題解決として、建設業界従事者が期待するデジタル技術には「建設ロボット」や「測量ドローン」「VR/AR/MR」が上がっているが、建設現場での導入は進んでいない実態も明らかに
■「デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れていると思う業務プロセス」には、「施工・専門工事」(35.3%)、「施工管理」(23.1%)がトップ3にランクイン(複数回答)。そのため、生産性向上や業務効率化の鍵は「施工・専門工事」「施工管理」にあると推測できる
■デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」のトップ5から、今後の推進には予算確保や導入の煩雑さ、今までのやり方にとらわれない「柔軟な発想や業界従事者の意識変革」が鍵になるものと思料される
業務プロセスごとに、「デジタル化による生産性向上、業務効率化」が進んでいるものと、遅れているものを聞いたところ、進んでいると思う業務プロセスは「設計関連業務(設計・監理など)」(46.6%)が1位。逆に、遅れていると思う業務プロセスは「施工・専門工事」(35.3%)となり、3位の「施工管理」と合わせ、生産性向上や業務効率化の鍵になり得ると考えられる。ただ、施工管理については、デジタル化による生産性向上と業務効率化が二極化している可能性もある。
★連載バックナンバー:
『建設産業構造の大転換と現場BIM〜脇役たちからの挑戦状〜』
本連載では、野原ホールディングスの山崎芳治氏とM&F tecnicaの守屋正規氏が共著で、BIMを中心とした建設産業のトランスフォーメーションについて提言していく。設計BIMについては語られることも多いため、本連載では施工現場や建材の製造工程などを含めたサプライチェーンまで視野を広げて筆を進める。
「施工・専門工事」「施工管理」でデジタル化が遅れていると感じる業種別の結果は、「施工・専門工事」で、「空間ディスプレイ」(50.0%)、工務店(48.8%)、自営(例:大工)(45.0%)の順。「施工管理」は、「サブコン」(37.9%)、「空間ディスプレイ」(30.0%)、「準大手・中堅ゼネコン」(29.1%)となった。
「施工・専門工事」については、現場に近い業種ほどデジタル化の遅れを感じている傾向が強いと判明した。
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