日本パレットレンタルは、パレット伝票を電子化するシステム「epalDD」の導入によって、レンタルパレットの利用企業間での受け払いに使用する伝票を、複写式伝票から電子伝票へと完全移行した。
日本パレットレンタル(JPR)は2023年4月7日、同年4月1日からレンタルパレットの利用企業間での受け払いに際して発行される“パレット伝票”を電子化に一本化したと発表した。2021年度実績で、電子化に移行したパレット伝票の枚数は年間約692万枚で、そこに記載されるパレットの移動枚数は年間約1億439万枚となる。
パレット伝票の電子化で、作業効率化やデータのリアルタイム性向上などの効果を得られる。物流業界全体で労働力不足の緩和や環境負荷の軽減といった課題を背景に、多企業間での協働やデジタル化による対応が求められており、こうした取り組みは、多数の企業が利用するサービスでのデジタル化の先駆的事例として注目されている。
JPRは、レンタルパレットの利用者に対し、パレット伝票電子化のためのシステム「epalDD」(イーパルディーディー)の導入を通じ、利用企業間での受け払いに使用する伝票を複写式伝票から電子伝票へ移行を進めてきた。移行完了に伴い、2023年4月1日以降、発行するパレット伝票は、epalDDで登録される伝票に統一されることとなる。なお、従来の複写式伝票は、同年3月31日までに発行された伝票に対する一連の運用をもって取り扱いが終了する。
これまで、複写式のパレット伝票を伴う運用で課題となっていた「パレット伝票を手書きした後、システムに再入力する手間手書き文字の判読のしにくさ」や「データが確定するまでのリードタイムの長さ」「伝票の保管の手間やスペース、後日に伝票を検索する必要が生じた際にかかる手間」などが電子化で解消される。例えば、データが確定するまでのリードタイムの長さは、これまで平均1カ月の期間が、2日に短縮するという。
JPRがパレット伝票の電子化に取り組んできた目的の1つは、レンタルパレットの利用に要する手間の軽減を図り、より利便性の高いサービスへとバージョンアップを図ることだ。また、昨今、物流業界は労働力不足や環境負荷などの課題に直面しており、レンタルパレットによる一貫パレチゼーションだけではなく、さまざまなデジタルトランスフォーメーションが企業や業界などで進められている。こうした状況下で、JPRは複写式伝票によるレンタルパレットの運用がイノベーションの妨げにならないようにしなければならないと考え、パレット伝票の電子化に向き合ってきた。
レンタルパレットを利用している物流現場ではさまざまなシチュエーションが存在するため、従来の運用手順を変更したり、自社システムとの連携に対応したりする必要がある。そのため、レンタルパレットサービスの利用者の理解や協力を得て、パレット伝票電子化サービスのバージョンアップが実現し、本格運用に至ったという。
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