mignがChatGPTの言語モデルに建設関連法規を学習させた「chact」の提供を開始した。建築基準法などの法令に関する質問をチャットで投げると、AIが即時に回答するため、これまで手間だった法規の制限や解釈に関する行政への問い合わせや提携事業者とのやりとりなどが解消される。
mign(マイン)は2023年3月20日、チャット形式でユーザーの問いかけに対してAIが文章を生成する「ChatGPT(チャットジーピーティー)」の自然言語処理モデル「GPT-3 davinci」に、建設関連の法規を学習させた「chact(チャクト)」の提供を開始した。
建設業は人々の生活の基盤に関する産業のため市場規模が大きく、また、地理的な成約によって多くの事業者や関係団体が存在し、国民やそれらの事業者などを守る建設関連法規も数多く存在する。そのため、建設プロジェクトを進める上で、建設関連法規の制限や解釈に関して行政や提携事業者とやりとりをすることが頻繁にあり、多大な人員と時間が費やされている。
2023年に米国法人OpenAIが大規模言語モデルChatGPTのAPIを公開し、高精度な自然言語モデルの活用や開発が容易になったことで、mignは建設法令関係のコミュニケーションコストを解消すべく建設領域に特化した自然言語モデルchactを開発した。
chactは、ChatGPTの言語モデルGPT-3 davinciを用い、主要な建設関連法規(国土開発、都市計画、建築/住宅関連の法律や政令、勅令、府省令、規則といった計429法規の全条文、5016の見出しと対応する条項号約65万文字※他の法律を参照するのみの内容は除く)を学習させてモデルを構築した。従来の一般的なレスポンスだけでなく、建設関連の疑問に応じて返答し、建設プロジェクトの計画立案などに役立つ。
学習前モデルの「GPT3 davinci」による回答:
1. 開発許可(1996年3月1日付の関東地域の空・海を航行する船舶に設置する非公式燃料タンクに関する調査研究,特に特定のモンテラを実施する) 開発許可概要 1.1. 本許可は,1996年3月1日付の関東地域を航行する船舶に設置する非公式燃料タンクに関する開発の調査研究を開始するために,1996年4月4日の平成8年秋の平日点頭までの期間,年間3回以内,全て関東地域に位置する満潮平均水深50メートル以上の海底に平行する計6枚の測線を中心に,年間平均2.5枚ずつ,同年間平均1.5枚ずつ,その水温・海水濃度・含水率など,1時間で16回の蒸散量 の関東地域内のエリアを測定する。※原文ママ
chactの利用手順は、法規関連の疑問があった場合にチャット形式で質問を入力。chactが即時に応答し、さらに対話のように質問を連続して入力することで、より詳細で正確な回答が得られる。
カスタマイズ例としては、建設関連法規以外のQ&A(顧客や協力会社とのメール履歴など)を学習したモデルの開発、モデルの自社Webサイトへの埋め込みにも対応している。
サービス形態は、SaaSでの提供となり、初期セットアップ料金+月額メンテナンス料金+API利用料($0.02/トークン=入力単語)。利用までの流れは、まずはユーザーとの面談から始まり、要件の検討、見積もり、初期セットアップを経て、サービス提供に至り、最短1カ月程度で利用できるという。
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