建設技術研究所がトンネル照明灯具の取付異常検知デバイスを開発、電源不要で使用可能点検

建設技術研究所は、京都大学のインフラ先端技術コンソーシアムで、構研エンジニアリング、鷺宮製作所、京都大学、北海道大学とともに、鷺宮製作所が開発した「エナジーハーベスタ」を用いることで、トンネル照明灯具の取付異常を検知する電源不要のデバイス「フリークエンター」を開発した。フリークエンターは、トンネル照明灯具に着目して開発されたものだが、今後はさまざまな施設などへの適用を進め、付属施設点検のシステム化を目指していく。

» 2022年12月28日 07時00分 公開
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 建設技術研究所は、京都大学のインフラ先端技術コンソーシアムで、構研エンジニアリング、鷺宮製作所、京都大学、北海道大学とともに、鷺宮製作所が開発した「エナジーハーベスタ」を用いることで、トンネル照明灯具の取付異常を検知する電源不要のデバイス「フリークエンター」を開発し、国土交通省の「点検支援技術性能カタログ」に登録されたことを2022年12月21日に発表した。

LEDランプの点灯により定量的なデータ記録に対応

 国内のトンネルでは設置された照明灯具などの取付部で異常が年々増加している。取付部の異常は、配置された施設全体で生じる固有振動数の変化で調べられる。そのため、さまざまな企業で、固有振動数の変化を振動計により検知する技術の開発を推進しているが、社会実装は進んでいない。

 上記の原因としては、「異常検知システムのコストが高い」「照明器具に装着する場合の電源確保」「異常を判断するための閾値設定の難しさ」などが想定されている。解決策として、安価で電源が不要で、電算機能がなくても固有振動数の変化が検知可能な点検支援技術の開発が望まれていた。

 一方、トンネルの照明灯具は、4本のボルトでトンネル覆工壁面に固定されているが、建設技術研究所の研究成果によれば、経年劣化でボルトの緩みや取付金具の腐食などが進むとともにトンネル照明灯具の固有振動数が低下することが判明している。

 そこで、建設技術研究所は、振動で発電するエナジーハーベスタを活用したトンネル照明灯具の異常検知デバイスであるフリークエンターを開発した。

「フリークエンター」(左)と照明器具への取付状況(右) 出典:建設技術研究所プレスリリース

 フリークエンターは、異常(もしくは健全)な状態で発生する固有振動値で発電することができ、異常な固有振動値を解析する電算機構などが不要なため、コストを大幅に減らせる。加えて、電源が必要ないため、照明器具に搭載する場合の課題だった電源確保も解決している。さらに、固有振動数の変化を利用し、トンネル照明灯具で発生する取付部異常の有無をLEDランプの点灯で確かめられる。

異常検知の仕組み(参考) 出典:建設技術研究所プレスリリース

 具体的には、プラスチックハンマーなどによりトンネル照明灯具の筐体(きょうたい)を打撃することで振動を与え、取付部異常の有無をLEDランプの点灯で目視で判断可能。ちなみに、人による揺すり点検では分からないトンネル照明器具の取付状態における変化が判明し、落下につながる異常を未然に検知する。

 また、異常時の特徴である固有周波数に関しては、複数のチェックポイントを用意し、ランク分けしたLEDランプの点灯(点滅)により、定量的なデータ記録に対応し、経年変化や劣化の診断支援に使える。

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