慢性的な人材不足に悩む、下水道管整備会社のニーズに応えるテムザックのクモ型ロボット「SPD1」。複数のロボットが群となって働き、それぞれが異なる役割をこなすことで、管渠内点検・調査業務の大幅な効率化を目指す。
テムザックは2022年11月8日、東京・神田明神文化交流館 令和の間で、新型ワークロイド クモ型ロボット「SPD1」の発表会を開催した。
ワークロイドとは「空間を自律的または遠隔操作で移動して、労働を代替するロボット」(出典:ワークロイド・ユーザーズ協会Webサイト)のこと。テムザックは2000年の創業以来、ロボットは“ロボットだからこそできる仕事”を行うべきとの考えのもと、医療・介護・災害救助・建築など、さまざまな領域でワークロイドの開発を手掛けてきた。今回リリースしたクモ型ロボットのSPD1は、下水道点検の作業効率向上のために開発された管渠(かんきょ)内調査ワークロイドだ。
国内はいま、1970年代から急速に整備された下水道管渠の老朽化問題に直面している。国土交通省によると、2020年(令和2年)度の全国の下水道管渠総延長は約49万キロ。そのうち、標準耐用年数50年を経過し、点検調査が必要な管渠の延長は約2.5万キロで、実に総延長の5%に上る。さらにその長さは、10年後に8.2万キロ(総延長の17%)、20年後には19万キロ(同39%)になると見込まれており、早急の対応が求められている。
ただし、慢性的な点検作業者不足などを背景に、調査・点検業務は思うように進んでいない。労働人口の減少は、建設業界全体が抱える課題でもあり、今後、早急な改善がなされる可能性は低い。そのため、増え続ける点検業務の需要に対応できる新しいアプローチの開発が求められていた。
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