大和ライフネクストの分譲マンション総合研究所「マンションみらい価値研究所」は、マンションでのAEDの設置に関する調査レポートを公開した。調査では、約4000組合の会計データを調べ、約21%の829組合でAEDに関連する支出があったと判明した。
大和ライフネクストは2022年10月18日、同社の分譲マンション総合研究所「マンションみらい価値研究所」が、マンションにおけるAED(自動体外式除細動器)の設置に関する調査レポートを公開したと発表した。
2004年7月、医療従事者ではない一般市民によるAEDの使用が認められてから、AEDの街中への設置は急速に進み、病院などの医療機関や公共機関はもちろんのこと、近年では人が多く集まるオフィスビルやマンションなどでもAEDを見かけるようになっている。一方で、AEDの設置には法律上の義務がなく、マンションへの導入については、基本的に管理組合の判断に委ねられている。
そこで大和ライフネクストは、管理するマンションにおけるAED導入の実態や検討段階でどのような議論が起こっているのかについて調査した。
調査は大和ライフネクストが管理を受託している分譲マンション約4000組合を対象に、2020年1月〜2021年12月の会計データから「AEDに関する支出があるか」をリサーチ。約4000組合のうち、約21%の829組合でAEDに関連する支出があったことが判明している。
また、管理組合の総会資料や議事録の議案名に「AED」の文言を含むものを抽出し、そのうち85件に対してサンプル調査を実施。AED設置に関する賛成派の意見では、「人命を最優先させるべき」が多かった。その他には、「マンションの資産価値につながる」「地域貢献」といったものもみられた。
逆に反対派の意見は、「発生頻度に対するコストが高い」が多数派となった。他には、「いざというときに使いこなせるのか」「一般会見の資金が不足している」「既に近隣に設置している建物がある」といった意見も散見された。
集約すると、賛成派の意見は主に「人命の尊さ」を主張し、反対派の意見は「発生の頻度」と「費用負担」を天秤(てんびん)にかけていることか分かった。マンションみらい価値研究所では、「両者は、相いれない個々の価値観の部分であり、管理組合としての決断に頭を悩ませるものだろうとコメントしている。
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