その肝となっている技術がパラメータ管理の機能で、設計支援システムとRevitや土木設計用3次元CAD「Civil 3D」、構造計算ソフトが密に連携することで設計のワークフローを最適化している。
パラメータ管理支援は、具体的にはまずシステムに基準や基本条件、堤防形状、断面の大きさ、樋管タイプを60個ほど入力すれば、樋管の初期形状となる詳細度でLOD300に必要なパラメータ400個程度が自動生成されてデータベースに登録。データベースからは3Dモデル化に必要なデータや構造計算、数量計算書にデータ出力可能で、3Dモデル出力ではCivil 3Dで樋管の土工作成、Revitではパラメトリックモデリングを入れたファミリや各種マテリアルなどの設定をテンプレート化しておき、Dyanamoを介して樋管本体の3Dモデル作成が可能になる。
また、特に役立っている機能としては、樋門/樋管の形状が基準内に定められているのかをクラウド上にある過去のデータベースを使って判定する「適合性評価」。Excelの項目に入力するだけで、例えばA(警告:明らかな間違い)やB(警告:解釈次第では間違い)、C(注意:ミスの可能性アリ)など、その形状が必要な基準を満たしているのか、適合性を視覚的に分かるようになる。適合を確認した後は、各部材の詳細形状を修正できる。さまざまなパラメータが複雑に絡み合う樋門/樋管の工事で、基準不適合の見落としをひと目で把握する機能は、作業工程のシンプル化と省人化に大いに貢献している。
坂本氏も「寸法値や交点などのディティールが定量的に把握しやすい3次元モデルの図面は、形状情報が断片化されているアナログの図面と比べて視覚的に分かりやすく、助かっている。また、設計者の意図を伝えやすく、ミスが発覚した場合でも修正しやすいのは大きな利点」と強調する。
(キャプション)樋門/樋管の作図や設計、構造計算といった工程フローの作成が容易に行えるように
システムの導入効果としては、従来の予備設計では一般図の作図で2日、概算数量算出とチェックで1日を要していたが、一連のフローが半日程度で全てが完了する。設計品質の面でも、修正が発生するたびに手作業で図面や数量を直し、工数が掛かるため複数案を出すのは現実的ではなかったが、パラメータの修正から作図や数量計算が迅速化されたことで、納得するまで複数案を作成して何度も作り直せるようになった。
今後、建設技術研究所は3次元設計支援システムについて、橋脚で先行しているLOD400の詳細設計でのワークフローやデータベースの開発、施工や維持管理のプロセスへデータを引き渡す際のアウトプット方法などを検討していく。
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