多くのドローンでは、バッテリーが電力源として使われている。しかし、容量があるため、長時間の連続飛行には多くのバッテリーを積載しなければならない。しかし、バッテリー自体は重く、ドローンの運動性を損ねてしまい、複数を載せたドローンでは、そもそも飛ぶこともできない。
ロボデックスは、「Japan Drone2022|第7回−Expo for Commercial UAS Market−」(会期:2022年6月21〜23日、千葉・幕張メッセ)で、ドローンの動力として使える水素燃料電池システムを披露した。水素燃料電池は現在、主流のリチウムイオン電池などのバッテリーよりも長時間の電源供給が可能で、ドローンの長時間飛行に貢献する。
Japan Drone2022でロボデックスが展示した水素燃料電池は、バッテリーに代わるドローンの電力源として期待されるシステムとなるものだ。
ロボデックスは、水素燃料電池用のドローンとして「aigis one(アイギス ワン)」と名付けたドローンを出品。aigis oneは、水素燃料電池のモジュールと水素タンクを装備した状態で15キロの重さにまとめられている。ペイロードは5キロで、最大飛行速度は毎時35キロの能力を備える。
モーターを使って飛行するドローンで大きな注目点とされるのが、飛行可能時間だ。バッテリーを搭載するドローンには、バッテリー重量の限界が付きまとう。バッテリーを動力源とするかぎり、重さと飛行時間のトレードオフは避けられない。
バッテリーのほかには、ドローンにガソリンエンジンを積んで、発電機を駆動するタイプのドローンも存在するが、ガソリンエンジンは騒音や排ガスなどの問題が懸念される。水素燃料電池は、騒音や排ガスを出さず、“クリーン”に長時間飛行を可能にするシステムとして注目されている。
展示品の水素燃料電池のモジュールはIntelligent Energy製で、出力2400ワット(W)タイプのモジュールは、従来のバッテリータイプに比べ約3倍の飛行時間を実現するという。
水素燃料電池モジュールは、特定のドローンに向けた専用設計ではなく、バッテリーのような汎用性を備えたパワーモジュールとなる。そのため、aigis one以外にも載せられる。既に、運用しているドローンのバッテリーを水素燃料電池に置き換えて、飛行させる実証実験も進められている。
実証実験で成果が得られ、バッテリーから水素燃料電池への入れ替えが検証されると、バッテリーを利用しているドローンのかなりの数が水素燃料電池へと移行する可能性がある。現在よりも長いフライトが可能になれば、より詳細な現地調査やより広範囲の飛行が行えるようになり、ドローンの活用分野が一層広がることにもつながる。
JUIDA 千田副理事長に問う、「社会実装元年」で幕開く“DaaS”時代と建設分野でのドローン用途
浪工学園がドローンに特化した「専門学校関西ドローン大学校」を2023年4月開校、VR教育も
球体ドローン「ELIOS 3」と「リアルタイム映像伝送/統合管理ソリューション」に込めたブルーイノベーションの戦略、熊田社長に聞く
産業用ドローン開発に力を入れるDJI、セキドブースに注目の2機体が登場
都市部での飛行許可が免除!“釣り”の発想から生まれた西武建設の外壁検査ドローンシステム
“ドローン新時代の空の安全を確保”するGMOホワイトハッカーによるセキュリティ診断、通信暗号化と機体認証もCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10