飛島建設は、KDDIスマートドローン、KDDIと共同で、全自動ドローンで、建設現場の測量自動化と地表面の高精度な面的計測の検証を行い、地表面管理での有効性を確認した。
飛島建設は2022年9月5日、KDDIスマートドローン、KDDIと共同で、建設工事現場での計測管理の自動化や高度化を目的に、全自動ドローンの「レベル3飛行(無人地帯における補助者なし目視外飛行)」を実現したと発表した。また、国際航業の技術協力のもと、全自動ドローンによる地表面変位計測も共同で検証した。
建設現場でのドローンによる空撮は、操縦者と補助者の2人以上の配置が必要となるほか、ドローンの撮影場所までの移動やドローンの充電といった労力を要している。特に、地表面変位計測のような頻繁な計測実施では、その都度移動や充電が必要で、困難を極めていた。
そこで飛島建設は、ドローンによる空撮や撮影画像に基づく地表面変位計測の自動化を目的に、自動離着陸や自動充電が可能な全自動ドローンを採用し、レベル3(無人地帯における補助者なし目視外飛行)の承認を受けた上で、施工を担当している「2020年度北勢BP坂部トンネル工事」で3社共同で検証した。
テストフィールドに選ばれた北勢BP坂部トンネル工事は、トンネル直上に営業中のゴルフ場があり、脆弱(ぜいじゃく)な未固結地山を最小土被り約3メートルで掘削する厳しい条件下の現場。ゴルフ場の営業に支障を与えないように、地表部にGNSSアンテナを備えたGNSS地表面自動変位計測を埋設し、安全性を確保しながら施工している。
検証に用いた全自動ドローンは、自動離着陸の機能を有し、レベル3の無人運用に対応。他にも、事前の3次元フライトルート設定によるドローン空撮の自動化をはじめ、開閉式ハッチを備えたドローンポートで充電や機体のセッティングも省略できる。さらに、4G LTE通信を介して、遠隔操縦やモニタリング、空撮データのクラウドへのダイレクトアップロードを実装している。
共同検証では、事前に設定した3次元フライトルートに沿って、ドローンが自動で飛行して空撮。空撮したデータはクラウドへ自動アップロードされ、SfM(Structure from Motion)解析で3Dモデリングを行い、ドローン測量の自動化と地表面の高精度な面的計測が可能であることを確認した。
また、現場で設置しているGNSSアンテナの対空標識への活用も試行。通常は、地上部に置く対空標識は、ドローン測量ごとに別途測量しなくてはならないが、GNSSアンテナを用いることで、測量の手間が要らなくなる。検証の結果、変位計測用のGNSSが対空標識として利用できることが分かり、加えて、全自動ドローンによる計測結果と、GNSSによる計測結果との融合が可能なことも証明された。
飛島建設は、今回の検証結果を踏まえ、同工事での試験運用を予定しており、今後は非GNSS環境など、あらゆる条件下での建設工事でさらなるドローン活用に向けて開発を進めていくとしている。
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