BIMのISO取得が国内でも進むなか、安藤ハザマが「ISO 19650」に基づく、BIM BSI Verification認証をゼネコンとしては2例目として取得した。
安藤ハザマは2022年7月22日に、英国規格協会のBSIグループジャパンからISO 19650-1およびISO 19650-2に基づく、「設計と建設のためのBIM BSI Verification(検証)」の認証を取得した。BIM BSI Verificationの認証は、日本の総合建設会社では大林組に次ぐ2例目となる。
ISO 19650は、設計から、施工、保守、最終的に廃棄に至るまで、建設資産のライフサイクル全体にわたり、B(I)MのInfomation=情報を適切に管理するための国際規格。3次元モデルを含む情報共有の環境「共通データ環境(CDE)」で、発注者や設計者、施工者、維持管理者間でのコラボレーションを可能にすることを求めている。
BIM先進国の英国では、2016年4月以降に発注する中央調達政府プロジェクトに入札する建設会社に対して、BIMの段階的レベル0〜3までの4段階のうち「レベル2」までを要求しており、ISO 19650はレベル2に相当する要件が全て網羅されている。そのため、今回の認証取得で、安藤ハザマでは成熟したBIMを導入しているとグローバルで対外的に示せることとなった。
ISOを認証取得した理由を安藤ハザマは、BIMによる情報共有は現在、社内のみでの運用が中心となっているが、これから業界全体でBIMの環境整備が進めば、発注者をはじめ、設計者、工事関係者など全てのステークホルダーとBIMを介した情報共有が必須になると指摘する。そのため、こうした将来像に向け、BIMによる情報管理マネジメントの整備が急務と捉え、PAS 1192の策定や発行、ISO化までを手掛け、国際的にもBIM認証実績件数が最も多く、日本で唯一の認証機関であるBSIジャパンでの認証取得に挑むことに至ったという。
今回、認証取得に取り組むなかで得た知見では、「情報マネジメントを体系的に理解し、情報管理の重要性を認識した」とコメント。さらに、CDEツールをいかに効果的に活用するかが、情報管理マネジメントの鍵となるが、情報管理の役割分担を設計業務フローに合わせる工夫をすることで、円滑に情報共有することができ、これからは社内でのBIMの業務体制の改善に役立てていくとしている。
一方で、苦労した点については、情報をデータベースとして活用するために、「記号化」や「数値化」のルールを定めて情報をコンテナ化することが、従来の業務フローにはなかったことを挙げている。
今後の方針では、設計から施工、維持管理の建築ライフサイクル全般で、建物のデータベースともいえるBIMを用いた情報の高度利活用を促進し、デジタル情報のバリューチェーンを構築することで、社会課題の解決と社会に向けて新たな価値創造に取り組んでいくと表明している。
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