対象物とその周囲に貼ったターゲットを専用カメラで撮影するだけで、対象物の位置を3次元で測定できる「V-STARS/Nシリーズ」。橋梁の架設工事をはじめ、人手不足や労働者の高齢化が叫ばれる土木工事の現場で、省力化をもたらすツールとして活用が広がっている。
既存のインフラ構造物をメンテナンスする際には、現況を的確に把握する技術が欠かせない。専用カメラでターゲットポイントを撮影するだけで、高精度かつ迅速に3次元座標値を算出するカメラ型高精度3次元測定システム「V-STARS/Nシリーズ」は、そうしたニーズに応える3次元フォトグラメトリの技術だ。
V-STARSは、米国の写真計測システム専門メーカーGeodetic Systemsが開発した製品。レーザートラッカーや写真計測システム、フォトグラメトリ、アライメントレーザーを取り扱う3次元計測機器の専門商社TACCが、日本での販売総代理店を務める。
2022年7月20〜22日に、東京ビッグサイト東展示場で開催された「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2022」で同時開催された「インフラ検査・維持管理展」のTACCブースの一角には、V-STARSのコーナーが設けられていた。
TACCの担当者は、「V-STARSは、もともとは航空・宇宙産業用に開発された技術で、30年近くの歴史を持つ。これまで飛行機や宇宙船などに用いる大型部品の寸法や設備のアライメント、品質管理などに用いられてきたが、日本では、シールドマシンの形状検査や老朽化したプラント用設備のメンテナンス、橋脚の耐震補強時の測定など、土木分野で利用されるケースが増えている」と、普及拡大への手応えを語った。そうした状況を受け、TACCブースには活用例として、鉄筋コンクリート造の橋脚への耐震補強用アンカーボルトの位置測定方法を紹介していた。
RC造の橋梁(きょうりょう)では、コンクリートを削孔してアンカーボルトを定着させ、ブラケットを取り付けてアンカーボルトに固定するというのが一般的な耐震補強法。工程のなかで課題となっているのが、ブラケットに開けるアンカーボルトを留める孔の位置だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.