建設業の三大災害の1つに数えられるのが、建機と人の接触事故だ。多くの重機は、操縦するオペレーター前面の視界は考慮されていても、後方の視界が遮られてしまっていることが多々ある。また、稼働中に大きな音を発しているため、オペレーターが人の接近に気付きにくい。ザクティの「ドボレコJK」は、操縦席のモニターに人と建機の距離感を表示して、周囲の状況が把握できるので現場の安全性確保につながる。
ザクティは、「第4回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2022年5月25〜27日、幕張メッセ)で、建設機械に取り付けて人の接近を知らせるセーフティカメラシステム「ドボレコJK」をPRした。
ドボレコJKは、セーフティアラート、ドライブレコーダー、遠隔モニタリングの3つの機能を持つ。重機に後付けすることで、後方を監視し、作業中に人が近づくと、運転席のモニター画面にアラートを発して事故を未然に防ぐ。
ザクティは、旧三洋電機のデジタルカメラ部門を出発点に、デジタルカメラおよびデジタルイメージングデバイスの開発/製造/販売を行っている企業。現在では、ウェアラブルカメラや360度のパノラマカメラ、ドローン用ジンバルカメラなど、豊富なカメララインアップと、クラウドサービスを展開している。
ドボレコJKは、デジタルカメラで培ってきた技術を応用し、工事現場での建機の安全な稼働に貢献するカメラシステムだ。機器構成は、2台のカメラと中継ボックス、制御ボックス、モニター。建機の後方左右にカメラを装着し、コックピット内にモニターを設置するだけで、建機の後方をコックピット内のモニターで安全確認できるようになる。
ドボレコJKが認識した人は、黄色や赤色の枠が付いて表示。これにより、オペレーターは、重機と人との間隔がどの程度あるかが分かる。重機と人の間隔がせばまると、ブザーによる警告音が鳴る。オプションにはなるが、警告と連動して、周囲に知らせる回転灯も点灯できる。
ドボレコJKの特徴は、“後付け”で建機の安全性を高められることにある。昨今の新しい建機には、周囲の状況を監視して人や障害物の検知を行う機能を搭載しているモデルも存在する。しかし、現状では、そうした機能を有していない建機も現役で稼働している。その点で、後付けできるドボレコJKは、建機のメーカーやタイプの制約を受けず、古いタイプのマシンでも安全な作業環境を整えられる。
ドボレコJKが認識する建機の稼働状況は、自動車のドライブレコーダーのように、SDカードやクラウドに記録するため、後日確認できるだけでなく、遠隔地からリアルタイムでの確認にも対応している。工事を管理する現場事務所や本社から建機の稼働状況をチェックしていれば、建機オペレーターにとっては、慎重な操作を促すことにもつながるはず。また、経験の浅い新人が搭乗した建機の動きを熟練者が遠隔で見て指示を与えれば、技能教育にもつながるだろう。
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