ダイキン工業がクラウド型ビル管理システムを発売、設備管理業務を遠隔で実現空調

ダイキン工業は、ビルや商業施設、工場、学校、病院などの設備管理業務を遠隔で行えるクラウド型ビル業務管理システム「DK-CONNECT BM」の販売を開始した。

» 2022年07月14日 07時00分 公開
[BUILT]

 ダイキン工業は、ビルや商業施設、工場、学校、病院などにおける設備管理業務の品質と建物の価値向上をサポートするクラウド型ビル業務管理システム「DK-CONNECT BM」を2022年7月8日に発売した。

クラウド型空調コントロールサービス「DK-CONNECT」とも連携

 ビルや商業施設の長期的な運営には、空調や電気、水道、衛生といった設備の維持管理が必須だが、バブル期以降に建てられた大量のビルや商業施設の老朽化に伴い、中小規模の建物でも設備管理の需要は増加傾向となっている。設備管理に関わる技術者でも高齢化による労働力不足が進み、設備管理業務の品質低下を防ぐための業務効率化や省人化が求められる。

 設備管理では通常、紙や表計算ソフトなどで作られた設備管理台帳を確認しながら、管理担当者が現地で設備の点検や電気・水道の検針を行い、点検報告書を作成する。建物の規模によっては、1人の担当者が複数物件の設備管理を担当することもあり、移動にかかる時間や報告書を作る工数の削減、管理担当者同士がノウハウを共有する機会の少なさが、業務の効率化や品質アップの障壁となっている。

 こういった状況を受けて、設備管理業界では近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)による設備管理業務プロセス改善への意識も高まっている。

 そこで、ダイキン工業はDK-CONNECT BMを開発した。DK-CONNECT BMは、月次計画、点検、検針、報告書作成など、ビル管理業務に必要な業務に対応するオールインワンのビル管理システム。

「DK-CONNECT BM」 出典:ダイキン工業プレスリリース

 具体的には、システム上に管理対象の建物を作成し、情報を登録するだけで業務が始められるシンプルな構成で、複雑な操作を覚えなくてもすぐに使え、システム上に複数の建物を自由に追加するため、管理対象物件の増加にも対応している。

 さらに、建物台帳、設備台帳、竣工図、点検、検針の業務データ、工事、不具合、問い合わせ案件の作業履歴など、ビル管理に必要な業務データの一元管理が行える他、記録データはクラウドを介して、離れた場所でも即座に調べられるため、迅速な状況判断、アドバイス、指示や承認を実現する。

 表計算ファイルや文書ファイルといったさまざまなデータも残せる「ファイルサーバ機能」を搭載している。ファイルサーバ機能は、従来現地に訪問しなければ閲覧が困難だった書類を遠隔から見られる。こういった業務の遠隔化は、業務効率の向上だけではなく、在宅勤務の導入や深夜の勤務体系見直しなど、働き方改革の推進を後押しする。

「DK-CONNECT BM」のイメージ 出典:ダイキン工業プレスリリース

 加えて、各案件の重要度、進捗状況、履歴の管理を行えるだけでなく、建物台帳には入退館ルールなど、建物固有の情報をメモとして保存し、担当者の配置替えやシフト交代の際に生じやすい情報共有漏れとデータの見落としを抑えられる。

 点検・検針結果の記録もタブレットなどのモバイル端末でシステムに直接入力するため、日々繰り返していた転記作業を減らせ、点検結果の保存中に点検項目の抜け漏れや入力内容に異常値があった場合は通知され、作業のミスを激減する。

 空調機は一元管理する情報が多い点を踏まえ、DK-CONNECT BMは、ダイキン工業が展開するクラウド型空調コントロールサービス「DK-CONNECT」や業務用空調機のドレンパン遠隔点検サービス「Kireiウォッチ」と連携することで、空調機の稼働状況やエラー情報、メンテナンスの履歴を自動で得られる。

 さらに、2022年10月にアップデートし、設備の修繕項目ごとに修繕周期と修繕予算を設定して中長期の修繕計画を簡単に作れる設備修繕計画機能を追加する見込みだ。

 設備修繕計画機能は、一般的な修繕周期を決められるだけではなく、修繕項目ごとに正確な運転稼働時間の設定に対応し、部屋や設備の利用頻度を考慮した修繕周期を決定することで、従来のように画一的に設定された修繕周期とは異なり、修繕項目ごとにライフサイクルコストの最適化を目指した設備修繕計画を作れる。

 また、修繕周期の自動設定や予算・実績管理、レポートの出力など、計画の立案から提案までに必要な機能を搭載している。

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