東急建設は、2024年に建設業にも適用される残業規制を見据え、全社的な業務効率化の一環で、これまで作業時間を無駄に費やしていた打ち合わせ書作成業務について、古くなった既存システムからMCデータプラスの作業間連絡調整サービス「ワークサイト」へと2023年度中に完全移行する。
建設業界に特化したクラウドサービスプラットフォーム「建設サイト・シリーズ」で知られるMCデータプラスは、ユーザーミーティングを2022年2月にYouTubeのライブ配信で開催した。
建設サイト・シリーズの大手ユーザーによる3番目の運用事例として紹介されたのは、準大手ゼネコンの東急建設。同社は、特に建設サイト・シリーズの作業間連絡調整サービス「ワークサイト」の活用に注力しており、現在ではワークサイトの開発にも協力している。
スピーカーを務めた東急建設 建築事業本部 事業統括部 事業推進部長 石田宏一氏は、ワークサイトの導入経緯から、現状での活用方法について紹介した。まず導入背景として、きっかけは2024年に建設業にも適用される時間外労働45時間規制の問題があった。「どのような対策を立てて、業務効率化を進めていくか?」を巡り、東急建設では2019年度に、建築部門内で社内ワーキングのグループを立ち上げた。
そこで浮かび上がった最大の問題が、「外勤技術員が毎日定期的に行う、作業間の調整連絡のための準備や帳票作成に関わる負担をいかに減らすかだった」と石田氏は話す。
具体的には、作業に用いる既存システムが、導入から十数年が経過しており、社内のPCでしか使えなかった。そのため、作業間調整連絡の帳票は、社員が作成し、打ち合せの席で、協力会社の担当者に手書きでサインをもらっていた。社員にとっては、通常業務以外で書類作成がかなりの手間となっており、紙ベースのために、協力会社にとっても非効率な運用が常態化していた。
こうした理由から現場では、端末に依存せずに使える新たなシステムが求められており、将来の帳票完全電子化のためにも、システム基盤の整備が急務となっていた。そのため、協力会社も利用できる新たな作業間調整システムの検討が始まったのである。
導入検討では、3つのシステムを比較。建設サイト・シリーズのワークサイト、当時既に市場に供給されていたB社のシステム、そしてもともとの既存システムである。
比較項目は、柔軟性・操作性(使い勝手)・拡張性の3点。柔軟性では、内製の既存システムは必要項目を充足していたが、B社のシステムは自由に使える項目が限られ、カスタマイズができなかった。一方で、ワークサイトは、不足している項目も柔軟に追加できた。操作性では当初は、B社が一歩リード。ワークサイトはスマホなどからも利用可能だったが画面はPC版のみだった(現在はスマホ版が完成)。拡張性は、建設サイト・シリーズ全体を効率的に使える基盤を持つワークサイトが「将来の利用価値も高い」と最終的に評価され、結果的に採用に至った。
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