さまざまな空調空間を期間限定で構築し、ユーザーとともに事業性を検討していくAIR HUB TOKYO――。プロトタイプの第1弾として設置されているのが、空質7要素を最適に制御した空間「Reboot Space(リブート・スペース)」だ。一人作業向けの「個室ブース」、向かい合ってミーティングできる「ボックスシート」、カウンター式の「ビッグテーブル」など、快適性と静音性を兼ねた4エリアを用意。閉空間から開放空間までの細かなニーズに合わせて、人々が過ごしやすい空間を提供している。
各エリアには、それぞれ等間隔かつ水平に柱が設置され、そこから滑らかに均一な風を送る「AIR ARCHI」テクノロジーを採用。上方から下方に向けて空気を送って循環させ、空間の快適性を保つダウンフロー構造によって、過ごす人たちに安らぎ感を与える。常に清潔な状態を確保できるため、ウイルスの空気感染も防ぐそうだ。「AIR ARCHIの技術を応用すれば、例えば会議室内でのパーテーションが必要なくなる」と、木原氏はメリットを語る。さらに風の種類も、心地よい風とは何かを極限まで探求し、鹿児島県屋久島の自然風を分析して、滑らかさや面積、ゆらぎを再現している。
施設見学会では、約30人の報道関係者が来場した。現地スタッフとともに施設内を回り、使用環境を想定したさまざまな意見交換がなされた。木原氏は、「コロナ禍によって働きやすい空間の考え方が変わってきているなか、最適な空気質の維持は各オフィス・商空間の共通課題になっている。ぜひ多くの方たちに当施設を体験してもらいたい。そして当社と一体になって、より良い環境構築について検証していければ」と話す。これからも定期的に設備を切り替えながら、空調にまつわるチャレンジを続けていきたい、と言葉を締めた。
パナソニック 空質空調社では、実験施設の開設を機に、非住宅分野での空気質関連の設備機器の拡販を強め、現在の売上6808億円から、2025年までに1兆円を目指している。
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