日本製鉄と共同開発した「壁面吸着型ロボット」など、顧客に寄り添うロボットをオーダーメイドで提供メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2021(2/2 ページ)

» 2022年05月22日 10時19分 公開
[川本鉄馬BUILT]
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案件ごとに異なる仕様・要件に伴走しながらビジネスを展開

壁面に貼り付いて高圧洗浄や塗装が可能なロボット。ウインチシステムやドローンで上から吊(つ)るすような運用も可能で、省人化と足場レスでの作業が実現する

 壁面吸着型のロボットは、ISOを取得したことで、品質が担保されたソリューションといえる。このため、状況が似ていれば、他の案件への横展開も可能となる。しかし、顧客の課題は案件によってそれぞれ異なり、既存のソリューションがそのまま導入できないことも多い。前出の寺本氏は、顧客の仕様や案件に合わせ、「伴走しながらビジネスをしている」と語る。

 新たな課題に対して、ソリューションを提示する場合のスケジュール感は、案件の難易度にもよるが、仕様・要件を固めて展開するまでで約2カ月のイメージ。そこから実装となるが、全体としては短時間といえるだろう。寺本氏は、全体を通してのスケジュール感を「半年位あれば実装する状態にまでできるのでは」と説明する。

狭隘部点検の取り組みフロー例
業務フロー例

図面上のクリックだけで、経年変化も管理

 今後、アイ・ロボティクスは現場で得たデータを解析するビジネスにシフトしていく方向性を示している。現在は、ドローンなどで映像を取得しても、「この後どうしましょうか?」との問い合わせが少なくない。そのために、データ取得後の業務を効率化するバックオフィス側のサービスを充実させていく。

 現在でも、膨大な調査データのそれぞれの位置を照合し、図面上にプロットするサービスを始めている。図面上のスポットをクリックすれば、その場所で撮った映像が見られるようになる仕組みだ。仮に、データを蓄積していけば、同じ場所の状況を経年変化の面からも管理できるようになる。以前との違いが目視で分かるようになれば、保守管理の業務効率化がもたらされるだろう。

 データ分析に関しては、赤外線の解析、AIを活用した亀裂の検知、長さの検出などを手掛けている。こうしたデータ分析の結果では、一級建築士の専門的な意見を含むレポートが必要とされる。まだ、全ての工程を完全自動化するには到達していないが、積算や修繕計画の立案には現状でも役立つ。

 これからは、ドローンによる現場データ取得、分析・解析レポート作成、修繕計画立案といった業務フロー全体の在り方を確立しつつ、質も高める。また、顧客の要件をさらに満たすカスタマイズも加速させる予定とのことだ。

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