大林組は、福島県相馬郡飯舘村で施工中の「令和2・3・4・5年度飯舘村長泥地区環境再生事業盛土等工事」で、建設機械の遠隔操作、自動・自律運転による盛土工事の現場実証をスタートした。
大林組は、福島県相馬郡飯舘村で施工中の「令和2・3・4・5年度飯舘村長泥地区環境再生事業盛土等工事」(環境省福島地方環境事務所発注)で、建設機械の遠隔操作、自動・自律運転による盛土工事の現場実証を開始したことを2022年4月22日に発表した。
大林組は、建設DXの一環として、「ロボティクスコンストラクション※1」を提唱し、作業環境の改善や建設機械との接触などによる事故の撲滅を目的として、技術開発を行っている。
※1 ロボティクスコンストラクション:BIM・CIMなどの技術を用いて現実空間とバーチャル空間を結び、建設プロセスを高度化させる概念で、施工においては遠隔化・自律化・自動化を活用し現場の完全無人化を目指す。
今回、現場での試験運用を通して、これまで培ってきた建設機械の遠隔操作と自動・自律運転の技術を集約することで、安全性と生産性の向上や大規模土工事の無人施工が可能であることを実証する。
実証では、土砂の積み込みに関して、トンネル工事現場で運用してきたバックホウ遠隔運転システムの適用範囲を盛土現場へ拡張し、場内運搬はキャリアダンプの自律運転を適用して、土砂の敷きならしと転圧はブルドーザの自動運転を適用。いずれの建設機械も遠隔操作に切り替えられる。
さらに、1人のシステム管理者で自動・自律運転に対応する複数の建設機械を効率よく運用できるプラットフォームを開発した。システム管理者は、このプラットフォームを利用して建設機械に作業内容を入力することで、一連の施工で複数の建設機械が連動して運転するように制御する。
施工状況については、モニター以外にPC画面上のアイコンで誰でも一目で確かめられる他、当日の作業条件に合わせて作業場所や立入禁止区域をシステム上で設定することで、建設機械同士や作業員との接触を防げる。
加えて、GNSSで建設機械の位置情報を取得するだけでなく、3Dレーザースキャナーで得られた周辺地形データやマシンコントロール機能を活用して高精度な施工を行い、施工の各段階で運行履歴データや出来形データを自動取得する。これらのデータを継続的に取得し、施工の進捗や建機の稼働状態を管理するとともに、施工計画の最適化に活用していく。
また、大林組では、バックホウの自律化や各建設機械の遠隔操作など、新たな技術開発を大阪府枚方市の西日本ロボティクスセンターで行い、現場に早期展開する体制を整えている。今後は、建設工事現場で使用される建設機械全体の自律運転化と、それらを統合管理するプラットフォームシステムを構築・運用するなど、建設DXを推進し、安全性と生産性の向上を目指す。
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