L&Sが提案する有機ELディスプレイを採用したデジタルサイネージは、透過型でガラス窓から外を見るように、向こう側が透けて見えるので商品の前にも置ける。自己発光もするので、設置場所の明るさにも影響を受けにくく、加えて、軽量かつ薄型で、今までは設置できなかった場所や新たな用途でも活用が見込める。
L&Sは、建築総合展「第6回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」(会期:2021年12月6〜8日、東京ビッグサイト)内の「第1回 商業施設・店舗DX展」で、透過型の有機ELディスプレイを採用したデジタルサイネージを展示した。
同社の有機ELディスプレイは、自己発光型でバックライトの必要が無いため、ディスプレイの向こう側がよく見え、画像や文字などを表示できる。加えて、自己発光型なので周囲の明るさにも左右されず、設置場所の自由度も高い。
デジタルサイネージは、動きのある映像やターゲットに合わせてコンテンツを切り替えて表示できため、掲示内容が固定されるポスターや看板などに比べ、より多くの注意や関心を集められるのが利点。しかし、これまでの液晶ディスプレイでは、周囲の明るさに影響されやすく、注目させたい商品のショーケース前には設置しにくいなど、運用環境が限定されることがあった。
今回、L&Sが出品したのは、薄型の有機ELディスプレイ。有機ELディスプレイには、自ら発光する素子を使い、バックライトが不要なことと、“向こう側が透けて見える”ことの2つの特徴がある。
有機ELの“有機”とは発光素子に、有機素材を使っていることを意味する。L&Sの有機ELディスプレイは、有機素材自身が発光することで、背面からバックライトによる光を与えなくても映像を表示することを可能にしている。また、バックライトが不要となったことで、ディスプレイの前面から向こう側が透けて見える透過性を備えている。
ブースで製品説明をしていた代表取締役社長 申春植(しんちゅんしく)氏は、「透過率は38%。向こう側が透けて見えるので博物館や資料館などの展示ケースと合わせて使えば、ケース中のものを見せながら、日本語や英語などを切り替えた説明も表示できる」と利用例を提案。そのため、限られた展示スペースを有効利用して、ディスプレイ表示で商品説明を補足するなど、今までにはない新しいデジタルサイネージの使い方の幅が広がる。
申氏は、「透けて見えるので圧迫感が軽減される」とし、「製品展示のショールームや調理場をあえて見せるレストラン、受付けなどにも有効だ」と話す。さらに使われているガラスは強化ガラスなので、ある程度の強度も有している。
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