“スマートシティー”を実現するAI 車種別の交通量解析など最新研究【土木×AI第11回】“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(11)(2/3 ページ)

» 2022年04月12日 10時00分 公開

映像から自動車の車種をAIで判定

 街づくりには、歩行者のみでなく、自動車などの交通量を把握することも重要になります。下図は、車種別交通量を求めるために、AIによって、ビデオ映像から、乗用車、バス、小型貨物、普通貨物、歩行者、自転車、その他二輪の計7クラスへの分類や検出を行った研究例です※3。枠線のバウンディングボックスで、車両の領域を検知して、対象物のクラス判別が行われています。対象物のクラス判別結果が得られることで、車両の追跡や車種別のカウントも容易になっています。

車両検出結果の例。赤枠:教師領域、緑枠:検出領域 出典:※3

※3 「車種別交通量調査における物体追跡法の改良」大久保順一,菅原宏明,藤井純一郎,小篠耕平/AI・データサイエンス論文集1巻J1号p235-241/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2020年

 人間にとって、車種を識別するのは、一見すると簡単なことのように思えますが、同じ車両であっても、正面から見たり、側面から見たりと、見る角度によってかなり見え方の違う画像になるため、必ずしも容易ではありません。そのため、車種識別の精度を向上することがAI活用を広げていくための1つのポイントとなります。

 文献4の「交通量調査のための車両部位識別技術に関する研究」※4では、車両の部位を正面、背面、左側面、右側面、上面、タイヤ、フロントガラス、ナンバープレートの計8つと背景に分け、セマンティックセグメンテーションで検出してから車種の分類を行うという方法で、精度向上を図っています。また、下図に示したように、セマンティックセグメンテーションの誤識別結果を反映した再学習を行うことで、AIを改善していく方法も提案されています。

車両部位の識別結果の例。正面:赤、左側面:桃、右側面:橙、背面:紫、上面:緑、タイヤ:青、フロントガラス:水色、ナンバープレート:深緑 出典:※4

※4 「交通量調査のための車両部位識別技術に関する研究」田中成典,山本雄平,今井龍一,神谷大介,中原匡哉,中畑光貴/AI・データサイエンス論文集2巻J2号p821-832/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2021年

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