新型コロナウイルスの感染拡大から約2年が経ちました。国内の感染状況は足元では落ち着き、日常生活が戻りつつあります。そこで今回は、アットホームが行っている「景況感調査」で業況の推移を確認し、不動産店の声なども紹介しながら不動産市場の「今」について解説していきます。
景況感調査とは、地域に根差して仲介業を営む不動産店を対象に、四半期ごとに景気の実感を調査し、前年並みを50とする「業況DI」で数値化したものです。
まずは、賃貸の業況の推移を見ていきましょう。グラフが大きく落ち込んでいるのは2020年4〜6月期です。1回目の緊急事態宣言に伴う外出自粛要請のダメージを受け、当時の業況DIは調査開始以来の“最低値”を記録しました。その後、業況は徐々に上向いてきたものの、直近2021年7〜9月期の業況DIは、首都圏38.9で前期比−3.3ポイント、近畿圏37.3で同−2.8ポイントと2期連続で下落しました。
不動産店からも「来店数・問合せ数ともに2020年と同様に減少した」といったコメントが寄せられ、コロナ禍による低迷の長期化が賃貸業況の回復にも影響を与えている様子がうかがえます。それでも、前年同期比では首都圏+4.0ポイント、近畿圏+3.3ポイントと前年水準を上回っています。
さらに、見通しについては、首都圏42.9、近畿圏43.3と両エリアとも上昇が見込まれています。これについて具体的な理由を尋ねてみると「今まで我慢してきたことへの反動で人が動く」「ワクチン接種者が増え通常の生活に戻るので、これまで控えられていた住まい探しが再開しそう」といった期待感がDIを押し上げているようです。
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