三井住友建設は、IHIおよびIHI運搬機械(IUK)と共同で、タワークレーンの揚重作業を効率化し、安全性も向上する運転支援システムの開発に着手した。今後、三井住友建設は、タワークレーン運転支援システムの実証実験を行い、早期に実現場での導入を目指す。
三井住友建設は、IHIおよびIHI運搬機械(IUK)と共同で、タワークレーンの揚重作業における安全性と生産性を向上させる運転支援システムの開発に着手したことを2021年7月1日に発表した。
三井住友建設は、高層マンションの施工で、PCa部材を用いた「スクライム工法」や最短3日で1フロアの躯体を構築する「システム施工法(DOC工法)」などの独自技術を使用している。しかし、建設現場で各工法を使用する際には、個別の図面と表を用いて、部材情報や作業工程の確認を行っており、作業者の負担となっている。そして、現場では、生産性向上を実現するために、施工計画と管理のデジタル化が求められていた。
また、タワークレーンの操作は、経験豊富なオペレーターが必要だが、業界では少子高齢化を原因とした熟練技術者不足で、ベテランのオペレーターが少なくなっており、安全性の低下が懸念されている。
そこで、三井住友建設は、BIMデータを基に各種データを登録した施工情報システムをクラウド上に構築し、それをタワークレーンの制御データとして活用する運転支援システムをIHIやIUKと共同で開発した。
新システムは、クラウド上で統合したデータを活用して、PCa部材の荷取り場から取付位置までの最適な揚重経路を自動生成し、クレーンを取付位置の上空まで自動誘導し、オペレーターの運転操作を支援する。
作業手順は、まずクラウド上の施工情報システムに、BIMデータを基にした施工計画情報(PCa部材情報、取付位置や順序など)を登録。次に、現場に搬入されたPCa部材に貼り付けられたRFIDタグを読み取って自動判別する。RFIDタグはPCa製造工場で導入する出荷工程管理システム「PATRAC-DL」で管理。続いて、施工計画に基づきクレーン自動誘導システムが最適な揚重経路を自動生成し、オペレーターがモニターで確かめつつ、PCa部材の荷取り場から設置位置上空までクレーンを自動誘導する。
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