戸田建設はタワークレーンを利用した揚重作業を効率化する、吊荷(つりに)旋回制御装置を開発した。高速回転するフライホイールのジャイロ効果を利用し、吊荷を目的の位置で正確に静止させたり、風などの抵抗を受けても姿勢を一定に保ったりできる。
戸田建設は揚重作業の効率向上と安全性確保を目的に、吊荷(つりに)旋回制御装置「ジャイアン」を開発した。実際の建設作業現場に導入したところ、タワークレーンを利用した鉄骨(はり)の設置時間を、約3分の1に軽減できたという。
建設工事では、鉄骨やカーテンウォールなどのさまざまな資材をタワークレーンで揚重し、取り付けを行っている。しかし、揚重作業は、強風やクレーンの動きに伴う慣性力によって、作業者の意思に反して吊荷が旋回してしまうケースが多く、安全性や作業効率の改善が求められている。接触や衝突により、資材の破損や品質の低下などを招く恐れもある。
ジャイアンは内蔵するフライホイールを高速回転させ、そのジャイロ効果によって発生する高出力の旋回モーメントを吊荷の旋回用の駆動力に用いている。屋外の明るさに寄らず同一の色と認識できる画像処理技術と、カラートラッキング手法を併用することで、吊荷を目的の位置で正確に静止させることも可能だ。風などの外乱に抵抗して吊荷の姿勢を一定に保持することもできる。
戸田建設は、同社が施工中の久留米大学医学部基礎3号館建設に伴う鉄骨工事にジャイアンを適用し、その安全性と作業効率の向上を確認した。今後は鉄骨工事に加え、風の影響を受けやすい外装材の取り付けにも適用し、安全性と生産性の向上につながる技術として積極的に現場への導入を進める考え。
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