インフォマートは2018年7月より、電子契約のサービス「BtoBプラットフォーム契約書」をリリース、これまで約3年間で2万6200社(2021年7月12日時点)が利用するまでに達した。これはコロナ禍を機に急速に拡大した在宅勤務の推進を背景に、「脱ハンコ」「脱FAX」が後押ししたためと考えられる。今後は2021年5月に可決されたデジタル関連法案により、特に慣習的に押印の多い不動産業業界でも、電子契約書へのシフト加速がさらに進むと予想される。また、経理分野でも、2023年10月導入予定の国税庁「インボイス制度」への対応として、企業間取引の電子化は避けられないものとなっている。
1998年2月設立のインフォマートは、当初はBtoB(B2B)の食材のマーケットプレイスからスタート。その後、業界内の要望により2003年から食品業界の食材に特化した受発注の電子化サービス「BtoBのプラットフォーム受発注」を始めた。
特に2015年「BtoBプラットフォーム請求書」、そして2018年「BtoBプラットフォーム契約書」のサービスを開始してからは、食品業界だけでなく幅広い分野の企業からの支持を集め、現在では利用企業60万9200社(2021年7月12日時点)と、国内最大級のBtoBプラットフォームを提供している。
本稿では、2021年6月にZoomのウェビナー形式で開催された記者向けオンライン勉強会の模様をレポートする。
勉強会ではまず、事業推進・戦略営業 執行役員 木村慎氏より、請求書のDXが加速している背景の解説があった。
インフォマートによる全国のBtoBプラットフォームユーザーを対象にしたアンケートでは、業種を問わず業務効率化・生産性向上を進める上での課題の筆頭に「書類や伝票の電子化」が63.2%、不動産・建設・設備企業に絞っても60.4%と突出して高い結果が出ているという。これはテレワークが広がる中で、「紙書類の電子化が進んでいない現状に改めて気がついた」という声が多いと、木村氏は指摘する。
また不動産・建設・設備企業が興味・関心のあるキーワードとしては、「電子署名」「電子帳簿保存法」「インボイス制度」が挙げられた(2021年2月10〜15日、メールによるアンケート調査)。
具体的に電子化したい帳票としては、請求書59.2%、契約書53.7%という回答だった(2020年8月19〜21日、メールによるアンケート調査)。
木村氏によると、こうした請求書のDXを加速する背景には、次の3つの要因があるいう。
1.在宅勤務テレワークの深化
2020年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大と影響により、業種にかかわらず、在宅テレワークで業務が完結できる環境設備や各種サービスのリリースがあった。
2.税制緩和
2021年10月、2022年1月電子帳簿保存法改正により、タイムスタンプなど、各種保尊要件の緩和で電子保管が容易になる。
3.標準化
2023年10月に施行を予定しているインボイス制度※により、EIPA(電子インボイス推進協議会)が国際規格PEPPOLに準拠した日本版インボイス標準仕様の制定を進める。
インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」という消費税の仕入税額控除の方式で、軽減税率制度の導入に伴い、新たに2023年から採用される制度。木村氏は、具体的には「請求書の様式を変更する必要がある」「消費税申告の業務が複雑になる」と解説する。
こうした背景もあり、「世の中は紙の世界からデジタルの世界への意向が加速している」(木村氏)。
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