東急建設が「木被覆木製柱」を開発、「1時間準耐火構造」の認定を取得新建材

東急建設は、木質荷重支持部材に耐火被覆として木質被覆材を張ることで木の現しを実現し、納期の早い一般の流通材を材料として使え、工期短縮とコストカットに貢献する「木被覆木製柱」を開発した。今後、同社は、中大規模木造建築ブランド「モクタス」で今回開発した部材を積極的に活用する。

» 2021年07月01日 09時00分 公開
[BUILT]

 東急建設は、木質荷重支持部材に耐火被覆として木質被覆材を装着した木製柱「木被覆木製柱」を開発し、実大試験体の加熱試験で、国土交通大臣認定「1時間準耐火構造」を取得したことを2021年5月27日に発表した。

既存の木質荷重支持部材を木被覆木製柱にすることも可能

 炭素を吸収した木材を建築物や家具などに利用することは、炭素を木材の中に長期間貯蔵するため、脱炭素社会実現に役立つと期待されている。そのため、政府は、木材の活用を促進する建築関係の法整備を進めており、2015年の建築基準法の改正では、一定の延焼防止措置を講ずることで木造3階建ての共同住宅や学校などを1時間準耐火構造の認定を受けた木材で建築可能とした。

 しかし、従来木造で準耐火建築物を建てる場合は、木質荷重支持部材をせっこうボードなどの不燃材で被覆する方法や工場へ製作を特注する大断面集成材(燃えしろ設計)を用いる方法が一般的だったが、木の温かみが損われ、高コストとなっていた。

 そこで、東急建設は、木質荷重支持部材に耐火被覆として木質被覆材を張ることで木の現しを実現し、納期が早い一般流通材を材料として使え、工期短縮とコストカットに貢献する木被覆木製柱を開発した。

「木被覆木製柱」(左)と国土交通大臣認定書(右) 出典:東急建設

 木被覆木製柱は、柱の外周が全面見える独立柱や吹き抜けの長い柱などにも使用でき、新築だけでなく、既存の木質荷重支持部材を木被覆木製柱にすることも可能。使用する木質荷重支持部材および木質被覆材には、一般流通材や特注材の製材、集成材を使え、樹種を問わないため、各地の木材を用いることで木材の地産地消も行える。

 木質被覆材を木被覆木製柱の材料として用いる際には、裏面に接着剤(ウレタン系樹脂接着剤)を塗布し、木質荷重支持部材に張り付け、端部を留付材(ステンレス製木ビス)で固定する。木質被覆材の取り付けは、柱の各面に1枚ずつ張る方法と長手方向に複数枚継ぎ張りする方法に対応している。

 また、木質荷重支持部材に納期が早い一般流通材を用い建方を完了した後、木質被覆材を張ることで、工期短縮や施工中の柱表面の汚れ防止などを図れる。さらに、工場で木質被覆材を搭載した柱を現場で施工することで現場の作業数を減らせる。

 サイズの条件に関して、木質荷重支持部材は105×105ミリ以上の断面寸法で、木質被覆材は厚さ60ミリ以上で木被覆木製柱の素材として活用可能で、木質被覆材の断面は形状矩形(くけい)だけでなく、角部の面取りや円柱にも対応する。

燃焼試験における試験体の設置状況(左)と燃焼試験の状況(右) 出典:東急建設

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