大成建設は、大規模・中高層建築物に適用可能で、仕上げ木材の樹種を自由に選べる木造部材を開発し、2020年10月に木仕上げ2時間耐火構造柱の国土交通大臣認定を取得した。今後、同社は、開発した木造部材の技術活用を目的に、梁(はり)への適用や使用状況に応じて適切な耐火時間を設定した条件での大臣認定取得を進めていく。
大成建設は、大規模・中高層の建築物に適用可能で、仕上げ木材の樹種を自由に選べ、低コストで耐火性能を有する木造部材を開発したことを2021年3月10日に発表した。
近年、国内の企業には、低炭素化社会の支援や国産木材資源の有効活用が求められるとともに、建築物への木材利用が推奨されている。大規模・中高層の建築物に木材を適用するために、建設会社では、耐火構造を有するさまざまな木造部材を開発している。
一般的な耐火木造部材は、建物荷重を支える木材の「荷重支持部」、難燃処理を施した木材や石こうボードなどの「燃え止まり層」、表面の仕上げ木材による「燃えしろ層」の三層から成る。従来の耐火木造部材では、燃え止まり層で燃焼を自然に停止させるために、木材の炭化により断熱効果を得る燃えしろ層の板厚を薄くできなかった。さらに、仕上げ木材は、耐火被覆を兼ねているため、使える木材の樹種や密度が限定され、部材全体の製造コストが高くなるという問題があった。
上記の課題を解消するため、大成建設は、耐火性が高く、安価な石こうのみで燃え止まり層を構築して耐火性能を確保しつつ、仕上げ木材の樹種を自由に選べ、デザイン性に優れた木仕上げ耐火柱部材を開発した。
今回の柱部材は、石こうを用いた燃え止まり層のみで2時間耐火構造を実現しているため、従来の耐火柱部材と比べ、部材断面を小さくすることに応じ、建設コストや建築物のデザインに合わせて、最適な樹種の仕上げ木材を選べる。
柱部材の燃え止まり層は、水に溶いた石こうを流し込むことで一度に作れ、従来品と比べ低コストで、廃石こう※1も使えることから、環境負荷低減にも有効だ。
※1 廃石こうおよび廃石こうボード:再利用技術が確立されていないため廃棄処分される割合が多いだけでなく、管理型最終処分場での処理が義務づけられており、処分場の不足が懸念されているもの
また、耐火柱部材との一体化で複雑になりやすいブレースや異種構造との接合部には、石こうの塗付や吹付を用いることで、容易に隙間なく耐火被覆処理を行える。
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