古河電工のエネルギーインフラ事業、2020年度はコロナの影響で営業利益は19億円の損失産業動向(1/3 ページ)

古河電気工業が展開するエネルギーインフラ事業の2020年度実績は、新型コロナウイルス感染症の影響や新規材料の強化費用といった特殊要因が作用し、売上高は前年度割れの1009億円にとどまり、営業利益は19億円の損失となった。

» 2021年06月10日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 古河電気工業(古河電工)は2021年6月8日、オンラインで、電力事業と産業電線・機器事業で構成されるエネルギーインフラ事業の説明会を開催した。

 会場では、古河電工 エネルギーインフラ統括部門長 小塚崇光氏や電力事業部門長 西村英一氏、産業電線・機器事業部門長 中里見直道氏が、2016〜2020年度のエネルギーインフラ事業を振り返った後、2021年度の施策や予測を紹介した。

2021年度の営業利益目標は10億円

 エネルギーインフラ事業は、2016〜2020年度にかけて、中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」に基づき、各種施策を行ってきた。電力事業では、2016年に、超高圧電力ケーブルの事業改革として、電力ケーブルの製造・販売を手掛けるビスキャスの地中・海底送電線事業を吸収し、ターゲット市場を明確化して、利益重視の受注活動を強化することで、収益を改善した。さらに、中国の子会社である瀋陽古河の構造改革も実現。

 また、再生可能エネルギー向け海底線の受注数で市場をリードした他、洋上風力発電プラントから洋上変電所を経由して陸上に送電する超高圧ダイナミック海底ケ−ブルの開発など技術力向上も果たした。

 産業・電線機器事業では、建設・電販市場向け汎用電線事業の再編を実施し、昭和電線ホールディングスと合弁販売会社SFCCも設立。加えて、高機能型低圧アルミ導体CVケーブル「らくらくアルミケーブル」の上市や機能線の拡販、防災・減災に関連する送電部品の開発を行い、配電盤用電線の売上増加や軽量型送電部品とポリマー製ジャンパー碍子(がいし)のローンチを達成した。碍子とは電線を支えるための器具を指す。

古河電気工業 エネルギーインフラ統括部門長 小塚崇光氏

 古河電工の小塚氏は、「エネルギーインフラ事業の2020年度実績は、新型コロナウイルス感染症の影響や新規材料の強化費用といった特殊要因が作用し、売上高は1009億円となり、営業利益は19億円の損失となった。しかし、営業利益は、特殊要因を除けば、Furukawa G Plan 2020で策定した利益水準と同じもので、各種事業施策の効果が出ている」と手応えを語った。

 続けて、「2021年度のエネルギーインフラ事業は、売上高は1050億円になり、営業利益は10億円に達すると予想している。2025年度までには、エネルギーインフラ事業を当社の柱とし、SDGsを軸に据えた展開により成長フェーズに移行することを目標に掲げている」と見通しを示した。

エネルギーインフラ事業の2021年度の予想 出典:古河電気工業
SDGsを軸に据えた展開のイメージ 出典:古河電気工業

 電力事業では、受注確保、ケーブル製造能力と施工能力の増強、技術開発の推進といった従来施策に加え、再生可能エネルギーと直流事業の強化に着手する。産業電線・機器事業では、らくらくアルミケーブルの拡販や再生可能エネルギー、データセンター、防災・減災関連用途の需要取り込みを行う。

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