応用地質と千葉県大多喜町は、新たな防災体制の構築を目的に、大多喜町内で、防災情報システムを用いた実証試験を進めている。
応用地質と千葉県大多喜町は、今後増加が懸念される豪雨災害に対応していくため、河川の増水や越水を検知する防災IoTセンサーや防災モニタリングカメラ、周辺住民に危険を知らせる警告灯で構成される防災情報システムを大多喜町内に設置し、実証試験を開始したことを2021年2月24日に発表した。
気候変動などの影響で大型台風や局地的豪雨の発生回数は、全国で増えており、被害の規模も甚大化しつつある。そして、千葉県内では、2019年秋の台風15号、19号、21号に起因する大雨により、河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が数多く起きた。大多喜町においても河川の増水や道路の冠水、倒木や土砂崩れにより、避難に支障が出ることが予想されたため、一部地域で高齢者や移動に時間がかかる住民に対して早めの避難を呼びかけるなどの対応を実施した。
大多喜町では、将来的に、豪雨災害の危険が一層高まることが予測されていることを踏まえて、より早期に災害の予兆を感知するとともに住民の自主的避難を促す新たな防災体制の構築が課題となっていた。そこで、同町は、応用地質と協力し、防災情報システムの設置と実証試験に踏み切った。
実証試験では、大多喜町内の水路に、増水や越水を検知する冠水センサー「冠すいっち」やセンサーと連動して、現地画像を取得する防災モニタリングカメラと周辺に警戒を通知する警告灯から成る防災情報システムを配置した。
システムの特徴は、2020年の「MCPC award2020」で最優秀賞を獲得した「ハザードマッピングセンサーソリューション」にも組み込まれたエッジコンピューティング、LPWA、IoT、クラウドを使用した多点型防災センサーを採用した点。多点型防災センサーは、面的で広範囲なリアルタイム監視機能を備え、対象のエリアに設けられた視認性の高い警告灯を併用することで、迅速かつ効果的な冠水情報の発信を実現する。
冠すいっちで検知した情報や防災モニタリングカメラで撮影した画像は、大多喜町の防災関係者にリアルタイムで通知されるとともに、現地では警告灯が発光し、周囲に危険を知らせる。今回の実証試験では、IoTセンサーや防災モニタリングガメラが検知した情報を活用したオペレーションや、周辺への危険周知方法などの有効性を検証する。
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