調査リポート
» 2021年05月07日 13時00分 公開

2021年Q1の大型マルチテナント型物流施設の需要を調査、コロナによるニーズは落ち着く産業動向(1/2 ページ)

CRBEは、2021年の第1四半期を対象に、首都圏、近畿圏、中部圏、福岡圏、その他(北海道、宮城県、石川県、岡山県、広島県)のエリアにおける大型マルチテナント型物流施設の空室率や賃料などをリサーチし、レポート「ロジスティクス マーケットビュー Q1 2021」に調査結果をまとめた。調査結果は、首都圏で、新型コロナウイルス感染症の影響でニーズが高まったマスクやティッシュといった日用品用の物流スペースを確保する動きが収まり、大型マルチテナント型物流施設の需要が落ち着いたことを明らかにした。

[BUILT]

 CBREは、国内における物流施設(大型マルチテナント型物流施設)の市場動向を収録したレポート「ロジスティクス マーケットビュー Q1 2021」を2021年4月28日に発表した。

 ロジスティクス マーケットビュー Q1 2021では、2021年の第1四半期を対象に、首都圏、近畿圏、中部圏、福岡圏、その他(北海道、宮城県、石川県、岡山県、広島県)のエリアにおける大型マルチテナント型物流施設の空室率や賃料などをまとめた。

首都圏では大型マルチテナント型物流施設の空室率は1.1%

 ロジスティクス マーケットビュー Q1 2021によれば、首都圏では、大型マルチテナント型物流施設の空室率が1.1%で前期比0.6%増となった。空室率が1%台になったのは2019年第4四半期の空室率1.1%以来となる。今期の新規供給は5棟で、うち2棟は満室稼働したが、テナントが再募集になった物件もあり空室が残った。今期の傾向に関しては、物流企業が大型マルチテナント型物流施設の需要をけん引したが、取り扱い荷物をみるとEC企業やオムニチャネル企業のニーズも存在した。

首都圏の大型物流施設の動向 出典:CBRE

 さらに、今期は、コロナ禍でマスクや日用品の出荷が増えた影響で物流スペースを確保するための動きが激化した2020年と比較して、テナントの動きは一服しつつある。また、向こう2四半期の間に供給が予定されている大型マルチテナント型物流施設のうち、6割程度の面積は既に内定済みとみられ、全体では順調なリーシングペースだが、立地とスペックによってリーシングの進捗状況に開きが出てきている。

 実質賃料は、首都圏全体で1坪当たり4460円で前期と比べて横ばいとなり、既存物件の賃料はいずれのエリアでも上昇基調が続いた。しかし、今期の竣工物件5棟中4棟が賃料水準の低い圏央道エリアで竣工したため、首都圏全体の平均値は前期比で横ばいとなった。

 エリア別では、東京都の沿岸地域を指す東京ベイエリアは、新規供給の物件が無かったが既存の物流施設で空室が発生し、空室率は0.9%となった。しかし、需給のバランスは逼迫(ひっぱく)しており、1坪当たりの実質賃料は対前期比0.8%アップの7440円だった。現在、この地域では、中小型物流施設の新築計画が複数あり、ラストワンマイル(顧客へ商品を届ける物流区間)配送拠点のニーズに応える施設として注目されている。

 東京外環自動車道の付近にある外環道エリアは、空室率が前期の0.3%から1.6%に上がった。要因は今期竣工した物件で空室が残ったことだ。実質賃料は1坪当たり5180円で、対前期と比べて横ばいとなった。このエリアにおける2021年の供給は、今期の竣工物件を含めて5棟中4棟が埼玉県内に集中する。なかでも、2014年以降途絶えていた三郷インターチェンジ周辺での供給が3棟ある。こういった新規供給の影響で、同地域の利便性が見直され、賃料は上昇傾向にある。

 神奈川県横浜市の西区高島町交差点を始点および終点とし首都圏を環状に結ぶ一般国道「国道16号」のエリアでは、今期は物流施設の供給がなく、空室率は前期に続き0%を記録した。2021年の第2四半期以降の竣工予定物件では満床となった物流施設もまだ少ない。

 さらに、前期時点で内定済みと推定されていたスペースが再募集となった他、既存物件で転貸区画が複数あるなどから、今後は空室率が上がる可能がある。実質賃料は1坪当たり4430円で、対前期比プラス0.2%とわずかな上昇にとどまった。今後も供給が無い地域や相対的に割安感のある物件では賃料アップしたが、それ以外は上昇に歯止めがかかっている。

 首都圏中央連絡自動車道の周辺である圏央道エリアでは、空室率が前期の0.9%から3.1%に上がった。主因は今期に竣工した物件4棟のうち2棟が空室を残していたからだ。しかし、向こう2四半期の間に竣工する見込みの5棟中4棟が既にテナント内定済みとみられる。このため、圏央道エリアでは再募集となった物流施設のスペースが出たものの、需給バランスが大きく崩れることにならないと想定されている。実質賃料は対前期比0.8%アップし、1坪当たり3580円となった。

首都圏の大型物流施設の空室率と実質賃料の指数 出典:CBRErelated:/bt/articles/2103/10/news020.html
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