建設現場の労働力となっている技能実習生数については、2015年の1万9000人から2020年には7万7000人に増加(図表7)。コロナ禍の2020年についても、前年比117.9%増加しており、2019年の同141.2%よりも低下したが、増加傾向は変わっていない。
建設業で特定活動の在留資格で働く労働者数の動向は、2015年の287人から2020年には5303人となり大幅増となっている(図表8)。特定活動の在留資格には外国人の建設就業者が含まれ、このデータから建設現場で働く外国人労働者も大幅に増加してきていることが分かる。
このように建設現場で働く外国人労働者が増えている背景には、東京オリンピック・パラリンピックの関連施設整備などによる一時的な建設需要の増大に対応するため、技能実習修了者を対象とする「外国人建設就労者受入事業」が2015年4月から開始されたことがある(この事業によって受け入れられた外国人技能工は特定活動の在留資格となる)。
中長期的な人手不足対策として、2019年4月に出入国管理法(入管法)が改正されて制度化された新しい在留資格である特定技能※6について、産業別の外国人労働者数を見ると、建設業では514人となっている。建設分野の特定技能での外国人労働者は2023年度までに4万人が目標とされているが、現状では非常に伸び悩んでいる。
※6 建設業における特定技能での受け入れ対象職種は、「型枠施工」「左官」「コンクリート圧送」「トンネル推進工」「建設機械施工」「土工」「屋根ふき」「電気通信」「鉄筋施工」「鉄筋継手」「内装仕上げ/表装」「とび」「建築大工」「配管」「建築板金」「保温保冷」「吹付ウレタン断熱」「海洋土木工」(国土交通省Webサイトより)
出入国在留管理庁によると、2020年の外国人新規入国者数は358万1000人であり、2019年の2840万3000人の12.6%のレベルまで激減したが、日本で働く外国人労働者は172万4000人と過去最高を更新し、建設業で働く外国人労働者も前年比119.0%に増加して11万1000人となった。
建設業における内訳では、建設技術者として働く人が該当する技術・人文知識・国際業務の在留資格で働く外国人労働者が前年比131.5%で9000人、建設現場で働く建設技能工などが該当する特定活動の在留資格で働く人は前年比115.7%で5000人に増え、人手不足が続く建設技術者、建設技能工についても外国人労働者への依存度は徐々に高まっていると考えられる。
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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