地震によるサーバラックやサイネージなどの転倒を防止する「免振スライダー」第25回「震災対策技術展」横浜

サイエンス構造は、地震によるサーバラックやサイネージ、プリンタ、ラック棚、薬棚の転倒を防止する「免振スライダー」を開発した。

» 2021年03月22日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 サイエンス構造は、第25回「震災対策技術展」横浜(会期:2021年3月17〜18日、パシフィコ横浜)に出展し、オフィス家具や設備の転倒を防止する「免振スライダー」を披露した。

最大搭載荷重は1平方メートル当たり28トン

 免振スライダーは、すべり止めゴムや超低硬度ゴムベルト、2つの特殊シートから成り、使用方法は転倒を防ぎたい対象物の下に敷くだけで、設置工事は必要無い。2つの特殊シートは、地震発生時、互いに滑動し揺れを摩擦力に変え威力を軽減し、超低硬度ゴムベルトは、衝撃力を吸収し、残留変位を小さくする。残留変位とは、地震後の免震部材が元の位置に戻らない場合における元の位置からの変位量を指す。

「FGS」シリーズの「免振スライダー」

 サイエンス構造の担当者は、「超低硬度ゴムベルトは、動く固有周期を3秒以上に設定しており、0.2〜2秒で振動する地震の卓越周期と共振せず、上に乗せた対象物の揺れを最小限に抑えられる」と語った。

 加えて、「サイエンス構造では、免振スライダーの性能を検証するために、MTIの3次元振動台を用いて、振動実験を行った。結果、長周期と短周期の地震動で効果を発揮することが判明した他、1995年の兵庫県南部地震と2011年の東日本大震災で生じた震動でも、免振スライダーの上に配置した対象物が転倒と破損しないことが明らかになった」と補足した。

振動実験の結果、兵庫県南部地震(上)と東日本大震災(下)の震動による免振スライダーの試験波形

 免振スライダーの種類は、屋外使用可能な「FGS」シリーズと難燃性機能付きの「NFGS」シリーズの2種をラインアップしている。

 FGSシリーズの寸法と重さは、100(幅)×100(奥行き)ミリが0.25キロで、200(幅)×200(奥行き)ミリは1キロ、300(幅)×300(奥行き)ミリは2キロ、500(幅)×500(奥行き)ミリは5キロ、910(幅)×910(奥行き)ミリは18キロ。

「免振スライダー」のFGSシリーズの構造

 価格について、サイエンス構造の担当者は、「FGSシリーズの100(幅)×100(奥行き)ミリが1つ当たり1万3500円くらいで、500(幅)×500(奥行き)ミリが5万5000円ほどだ」と一部を紹介した。

 NFGSシリーズの寸法と重さは、320(幅)×320(奥行き)ミリが3.5キロで、420(幅)×420(奥行き)ミリは6.2キロ、520(幅)×520(奥行き)ミリは9.5キロ。両製品ともに、耐用年数は10年。最低搭載荷重は50キロで、最大搭載荷重は1平方メートル当たり28トン。

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