三井住友建設が高圧線下での床版取替工事を可能にする床版架設機を開発製品動向

三井住友建設は、橋梁(きょうりょう)の床版取替工事で、高圧線下など特殊な施工条件でも効率的な作業が行える床版架設機を開発し、2018年3月7日に着手した「東名高速道路(特定更新)裾野インターチェンジ(IC)〜沼津IC間床版取替工事」の一部で初適用した。

» 2021年03月19日 14時00分 公開
[BUILT]

 三井住友建設は、橋梁(きょうりょう)の床版取替工事で、通常のトラッククレーン施工が困難な環境でも、作業が可能な床版架設機を開発したことを2020年12月24日に発表した。

クレーン申請と完成検査が不要

 新型の床版架設機は、脚自体が伸縮して床版を上下させる「門型油圧リフター」と、床版上の横梁(よこはり)に固定された走行レールに沿って移動する「搬送装置」で構成されている。搬送装置は、床版を平面的に回転させる機能を搭載しており、施工時における床版の吊上げや搬送、設置の作業を遠隔操作で行える。トラッククレーン施工では吊上げと設置の際に、床版を固定する補助作業員が必要だが、新型機ではその作業が不要なため安全性向上と省力化・省人化を図れる。

新型の床版架設機のイメージ 出典:三井住友建設

 また、トラッククレーンと比べて総重量が軽いため、新型機の搬入、組み立て、解体では、大型の重機が要らず、施工時に既設の鋼桁に与える負担を小さくできる。

 門型油圧リフターは、稼働させることで床版を上下に揚重することから、一般的な橋形クレーン形式の床版架設機を取り付ける際に求められるクレーン申請と完成検査が不要で、架設機の組み立てから使用までの期間を短縮する。作業休止時は門型油圧リフターを縮めて高さを低く抑えることで、高さ調整が難しい橋形クレーン形式の床版架設機に比べて、隣接する供用線への影響も減らせる。

 さらに、門型油圧リフターの横幅や基数を変更することで、1サイクルで取替する床版枚数を現場条件に合わせて設定でき、1車線ごとに床版取替する場合の半断面施工にも応じられる。

 三井住友建設は、既に、静岡県で2018年3月7日〜2023年8月1日まで手掛ける「東名高速道路(特定更新)裾野インターチェンジ(IC)〜沼津IC間床版取替工事」の一部で新型の床版架設機を初適用している。

「東名高速道路(特定更新)裾野IC〜沼津IC間床版取替工事」 出典:三井住友建設

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