国内では、地震とともに台風や豪雨の被害も多い。日本では例年、7月に梅雨前線を伴う豪雨があり、9月には台風が到来する。言い換えれば年に2回、雨による災害のピークがあることを意味する。
講演では、地震、豪雨、防風などによる被災現場の写真が数多く紹介した。さらに、NHKが5年に1度実施する在宅時間調査の結果を示し、自宅で災害に遭遇する危険度が高いことを裏付けた。
昨今のコロナ禍でもそうだが、災害時には自宅で避難生活を続ける必要性も出てくる。東田氏は、自宅で被災する可能性が高いことを踏まえ、住宅メーカーとして“もしもの時”にも、家族の安全を守り暮らしを続けるために、何ができるかを考えなければならないとした。ここで東田氏が「家族」というキーワードを使うのは、対策に関する行動を人ごとではなく、より自分事として強く意識してもらうためだ。
災害対策の観点から東田氏は、西日本豪雨で小田川が決壊した際のものと、熊本の球磨川が決壊した際の洪水ハザードマップを示した。いずれもハザードマップと実際の水没エリアは一致しているという。「ハザードマップの精度は非常に高いので、事前に確認して避難所などの場所を知っておくことが大切だ」(東田氏)。
東田氏は、避難に関する事柄を家族で話し合うことの重要性を説く。また、災害が発生しなくても、避難の練習を行う、いわば「素振り」することは、無駄ではないと強調する。
「野球でホームランを打つには、練習で多くの素振りをしなければならない。避難警報で警戒レベル3(避難準備・高齢者など避難開始)が発令された時点で、避難所に行くべきだ。こうした事前行動がきっかけとなり、防災力が徐々に高まり安心な暮らしにつながる」(東田氏)。
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