実験の結果、夏期の温度ムラ解消と、秋期には約5割の消費エネルギー削減を実現した。
このうち、温度ムラの解消では、AI制御の場合は、室内の利用状況の変化などによって、一時的に26±2度の目標温度帯を外れてしまうエリアが発生しても、目標温度帯に速やかに復帰した。一方で、暑く感じたオフィスワーカーが自らの操作で20度に設定すると、長時間にわたり26±2度から外れたエリアが発生してしまった。そのため、AIが多量のデータを分析し、手動制御よりも6分間に1回の高頻度で温度変更を行うことにより、人が操作する空調制御では対応しきれなかった環境変化にも追従することが証明されたことになる。
秋期の消費エネルギー削減では、10月5日から11月27日までAIの空調制御を行い、空調消費電力は、東京建物が同規模の面積を利用している8〜10階の平均と比べ、消費エネルギーを50%程度に抑えた。また、個人の感覚ではなく、データを基に早朝以外は暖房を使わずほとんどの時間を冷房モードのみの使用となったことで、26±2度の目標温度帯を維持したことも省エネにつながった。
実証実験での3社の役割は、東京建物が実験の場として自社オフィスを環境整備し、提供するとともに全体をとりまとめ、TOKAIコミュニケーションズがAIの構築と調整を担当。内田洋行は、無線センサーの設置とセンサーデータを収集し、制御信号をAIから受信して空調機へ送信するシステムを構築した。
今後3社は、四季を通してAIによる空調制御を可能にするため、冬期から春期にかけても実証実験を行う他、オフィスの人口密度などの要素が変わった場合でも、同様の効果が得られるかを検証する。同時に、東京建物八重洲ビル内で実験対象フロアを拡大することも検討している。
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