大和ハウスとトプコンが協業、現場のデジタル化やデジタルツイン技術の創出を目指す産業動向(2/3 ページ)

» 2020年11月30日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

リアルとデジタル空間の架け橋になる技術を開発

 記者会見の中盤で、トプコンの江藤氏は「昨今、インフラの需要がグローバルで高騰しているのに対して、熟練の技能者が不足している。そこで、精密なGNSSを用いた建機の自動化システムとセンサーを利用したデジタイゼーションによる工程の一元管理といったトプコンの独自技術が貢献すると考えている」とした。

トプコン 取締役 常務執行役員 江藤隆志氏

 また、「人手が足りない中で、生産性を高めるためには、現場を工場のように効率良く運営しなければならない。例えば、車の製造工場では、CADで作成した車両の設計データを基に、ロボットが自動で車を組み立て、管理も行っている。一方、建設現場では、設計と測量で取得した情報を各工程で利用できておらず、円滑に業務が進行していない」と警鐘を鳴らした。

工場と建設現場のワークフローの違い

 解決策の1つとして、トプコンは、3次元デジタル測量機で取得したデータをベースに、墨出しや自動化施工、検査を行う一連のワークフローを開発した。ワークフローは、まず3次元デジタル測量機で現場の位置データを点群で得て、PCで3D位置データに変換する。3Dデータは、3次元デジタル測量機を利用して施工現場で見える化するとともに、マシンコントロールを搭載したICT建機の自動化にも使う。

バーチャルとリアルの空間を位置データで接続

 江藤氏は、「基本合意書の締結後は、大和ハウス工業の持つ建設プロセスのノウハウを研究するとともに、現場の実態を把握して、設計のBIMデータを施工現場で可視化し、現実空間とのズレを認識するデジタル技術を開発する」と抱負を述べた。

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