GLOOBE 2021のこれまでに無い優位性を石井氏は、「設計と施工、BIMとCIM、現場と顧客の3つを繋ぐプラットフォーム」と訴求した。
3つの繋ぐのうち、設計と施工では、他社のBIMソフトで作成した設計モデルをIFCやST-Brige(STB)を介して躯体データとして読み込み、GLOOBE Constructionの仮設計画や土工計画にそのまま生かせる機能が備わったことで、設計・施工のBIMが一気通貫で繋がるようになった。
2つ目のBIMとCIMでは、国土交通省がi-Constructionで目指す2025年までに生産性を20%向上させる一環で、小規模工事を除く全ての公共工事にBIM/CIMを原則適用する方針が発表されたことを受け、福井コンピュータアーキテクトの建築BIMと福井コンピュータの土木測量CADを連携させることが不可欠と認識したという。そのため、GLOOBE Constructionでは、土木測量ソフトとの相互リンクで、現況地形から、ICT施工、図面、概算数量まで土工計画の全体をカバーできる仕様ととなっている。
具体例としては、ドローン撮影で取得し、3D点群処理ソフト「TREND-POINT」で生成した点群データをGLOOBE Constructionで現況地形のメッシュデータとして読み込み、GLOOBE ArchitectやIFC、STBのデータを入力すると、建物躯体データとして重なり、現況地形との切土・盛土体積表示など土工掘削用のモデルが作成される。掘削・整地の3Dモデルは、CIM系のオープンフォーマット「LandXML」形式に変換することで、ICT建機内のモニターに3D表示できるようになり、ICT施工に貢献する。
実事例として、鴻池組が大阪府大阪市住之江区で建設中の研究施設「(仮称)KONOIKEテクノセンター」の現場では、GLOOBE ConstructionからLandXMLに出力したデータを日立建機製のICT油圧ショベルに連携させ、次世代施工をアシストしたという。「建築BIMシステムで、LandXMLへの出力能力を有しているのは、GLOOBE Constructionのみだろう。今後は、建設現場でのICT活用を後押しするバージョンアップをしていく」(石井氏)。
また、現場に繋ぐの観点では、GLOOBE Constructionは、仮設計画と土工計画それぞれで、3Dシミュレーションや各種計画の立案、労働基準局に提出する仮設計画図(第88条申請)のアウトプットにも応じている。ゼネコンの施工管理ツールまたはサブコンの専門業務ツールとしても役立つため、現場での業務効率化がもたらされる。
具体的には、仮設計画で3Dモデル上でのくさび緊結式足場(インチ系・メートル系)の配置をはじめ、梁枠・腕木・布材・先行手摺(てすり)・アサガオなどの入力簡易化、張出し足場やサイズ変更などの編集、仮設計画図(平図・立図)の出力や部材数量集計などが可能となっている。
土工計画では、各工程での土量を見ながら計画が立てられるだけでなく、シートパイル、親杭横矢板、SMWの山留壁工法に沿って、切梁・腹起・構台などの検討も行える。施工図作成システム「J-BIM 施工図CAD」の躯体図データとも連携しているため、生産設計業務の効率化と高精度な施工計画とシミュレーションにも役立つ。
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