奥村組は、茨城県つくば市の技術研究所内で大規模リニューアルとともに新設を進めていた実験施設が2020年7月末に竣工した。リニューアル工事では、実験棟の新設以外にも、管理棟のNearly ZEB化、南海トラフ地震などに伴う長周期地震動を再現する機器の導入、高機能化するコンクリート材料に対応する研究を行う試験装置の導入を行った。
奥村組は2020年8月末、茨城県つくば市の技術研究所で進めていた大規模リニューアルが同年7月末に完了したことを明らかにした。
奥村組は、「中期経営計画(2019〜2021年度)」に基づき、企業価値の向上に向けた技術優位性の構築を目指しており、これまでの研究開発活動をさらに充実させるべく、技術研究所の施設整備を行った。主な施設整備は、室内環境実験棟の新設、耐震実験棟への長周期振動台の導入、材料実験棟の改修、管理棟のZEB化改修の4点。
室内環境実験棟は、快適性や健康性、省エネルギー性など、室内環境に関わるさまざまな要素を多面的に検証する。オフィスや工場、集合住宅などの異なる室内空間を模して3つの実験室を設けている。
このうち室内環境実験室は、オフィス空間の温熱、光、音環境を対象に、真南に向いた面をカーテンウォールとし、1階及び2階の各部屋を断熱性能の高い壁で仕切り、最大4室(1階2室、2階2室)で同じ日射条件下の実験を行う。室内環境実験棟の規模は、RC/S造地上2階建て、延べ床面積978.86平方メートル。
吹抜空間実験室は、工場やアトリウムなど天井の高い空間(8メートルの天井高さ)の温熱、気流、音環境を試験する。3部屋目の床衝撃音実験室は、集合住宅などの床衝撃音や固体伝搬音に関わる実験に応じるため、JIS A 1440-1,2「実験室におけるコンクリート床上の床仕上げ構造の床衝撃音レベル低減量の測定方法」の付属書に規定されている壁式構造箱型実験室と、多目的利用が可能な大型スラブを備えている。
また、耐震実験棟の改修では、将来発生することが危惧されている南海トラフ地震などの巨大地震による長周期地震動に関わる研究のため、「長周期振動台」を導入。長周期振動台は、最大水平変位±100センチ、最大速度毎秒150センチという国内最高クラスの性能を有し、これまで再現が困難だった長周期地震動を忠実に再現する。
実験棟にはもともと、最大搭載質量60トン、最大加速度3Gの国内有数とする加振性能を持つ3次元振動台があり、既設の3次元振動台の上に、長周期振動台を載せて2段重ねで連成加振することで、最大水平変位±112.5センチ、毎秒250センチの振動を実現できる。これにより超高層建物や免震建物の長周期地震動による挙動についての検証が可能となった。建物の概要は、S造地下1階/地上2階建て、延べ2054.42平方メートル。
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