入居企業が交流する三菱地所のオフィスが「有楽町」駅チカに開業、コロナ対策のAI実証もプロジェクト

三菱地所は、東京都千代田区の大手町や丸の内、有楽町の大丸有エリアでの2020年以降のまちづくりを「丸の内NEXTステージ」と呼称し、イノベーションを創出できる空間の構築やデジタル基盤の強化を進めている。丸の内NEXTステージの一環として、丸の内で、各入居テナントの社員がそれぞれ交流しやすい多目的スペースなどを設けたオフィス「Shin Tokyo 4TH」が2020年8月3日に開業した。

» 2020年09月03日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 三菱地所は、東京都千代田区丸の内で、多目的スペース「Meet UPスペース」やカフェ「Join 4ths」、ラウンジ「CENTER SQUARE」を共有部として併設したオフィス「Shin Tokyo 4TH」を2020年8月3日にオープンした。

AIサーモカメラを用いたシステムでコロナ対策

 Shin Tokyo 4THは、フロア全体の面積が6367平方メートルで、うち共有部の面積は552.30平方メートル。所在地は東京都千代田区丸の内3-3-1の新東京ビル4階。JR「有楽町」駅から徒歩3分の立地。新東京ビル4階のフロアをリノベーションした施設で、DXやオープンイノベーションを推進する企業を誘致していく。

 2020年8月27日時点で、NTTデータ、CROSS Bussiness Producers、ボーンレックス、NEXs Tokyo、AWL、DEFIDE、div、MONET Technologies、The Qt Companyの計9社が入居している。

AIカメラソリューション開発ベンチャーのAWL 代表取締役社長 兼 CEO 北出宗治氏

 デザインコンセプトは「Market」で、市場のような賑(にぎ)わいをフロア全体で演出するとともに、入居する各社の従業員がそれぞれ交流や情報交換が行える環境を創出することを目標に掲げている。また、三菱地所は入居企業と協業していく方針を示している。

 2020年8月27日に開催された記者発表会で、入居企業のAIカメラソリューション開発ベンチャーAWL 代表取締役社長 兼 CEO 北出宗治氏は、「三菱地所との協業で現在、Shin Tokyo 4THがある新東京ビル内で、AWLが開発したAIカメラソリューションの実証実験を行っている。試行しているソリューションは、AIサーモカメラや専用システムなどから成るもので、コロナ対策となる製品だ」と語る。

 「実証試験では、Join 4thsの入り口に置いたAIサーモカメラで、入店する前に利用者を撮影し、一定温度以上の体温がある人を検知した場合は、店舗のPCなどに専用システムでアラートを発信し、感染の疑いがある人が入店するのを事前に防げるか確かめている。2020年9月からは、ビル内にある喫煙室の混雑状況を見える化するAIカメラソリューションの実験を予定している」と説明した。

 CENTER SQUAREは、エレベーターホールを改修したエリアで、入居するテナントのスタッフが来客への応対ができるような家具を配置しており、リフレッシュスペースとしても使える。

ラウンジ「CENTER SQUARE」

 Join 4thsは、従来事務所だったスペースをリノベーションしたエリアで、食事だけでなく、ワークプレースとしても使用可能で、仕事に集中できる個室型のスペースも設けている。運営はストックホルムローストが担当しており、同社のスタッフは、利用者と積極的に意思疎通を図り、各入居テナントの従業員がそれぞれコミュニケーションをとりやすい雰囲気を醸成している。

カフェ「Join 4ths」

 Meet UPスペースは、勉強会やセミナーなど外部から人を呼び込むイベント専用のスペースで、最大100人が収容可能。また、ミーティングやワークプレースとしても活用できる他、シェアキッチンを設置しているので、その場で料理も作れ、ランチイベントなどにも使える。

多目的スペース「Meet UPスペース」

 共有部は入居テナント専用で、それぞれをつなぐ廊下は、「一丁倫敦(ロンドン)」と呼ばれていた以前の丸の内エリアをイメージし、壁面にブリックタイルを採用している。壁の4カ所には日本で活躍するアーティストがウォールアートを施しており、半年ごとにウォールアートを刷新する。

 また、専有部は、オフィススケルトン仕様で、天井高3メートルを確保しており、照明にはライティングレール照明を採用している。

廊下の壁面に描かれたウォールアート

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