三菱地所コミュニティは、「誰でもいつでも簡単に」をコンセプトに掲げたマンション管理アプリ「KURASEL」を開発した。2024年度末までに全国3000組合での導入を目標に掲げ、2025年度には売上12億円を目指す。
三菱地所コミュニティは2020年7月1日、都内で開かれた記者発表会で、マンション管理アプリケーション「KURASEL」を開発したと明かした。KURASELの販売窓口は、同社が同年6月1日に新設分割したイノベリオスが担当し、2020年11月1日にリリースする。
現在、分譲マンションの管理は、管理組合が区分所有者から管理費を徴収し、理事会で使途を決め、管理会社に委託費を支払い、理事会や会計の業務がサポートされるケースが多い。また、建物の維持や修繕は、管理会社から清掃会社や点検会社、警備会社に再委託されている。
近年、マンション管理組合の多くで、人件費高騰に起因した管理委託費の増加による修繕積立金不足の他、理事会役員の成り手減少が問題となっている。国土交通省の調査によれば、将来的に修繕積立金が不足するマンションが全体の約3割を占め、マンション管理組合員で80歳以上の3割が理事会役員を引き受けたくないという意見を持っていることが判明している。
記者発表会で、イノベリオス 取締役 常務執行役員 兼 管理部長 安藤康司氏は、「多くのマンション管理組合で、現状の管理体制が続いた場合、管理費の増額により、各区分所有者の負担が増えると見込んでいる。管理費の値上げができない場合、管理会社を解約しなければならない状況に陥ると考えられる。修繕積立金の不足は、適切な修復が行えない状態を招き、建物が劣化する。理事会役員の希望者減少は、理事会の維持を難しくし、マンションの現状に応じた管理を困難にする」と説明した。
続けて、「これまでのマンション管理の課題を解決するため、イノベリオスでは、管理組合に、管理会社に委託せず、単独で会計業務や理事会の運営を行うことを提案する。今回開発したKURASELは、マンション管理のノウハウが無いユーザーでも、会計や理事会の仕事を容易に進められるため、管理会社に依存せず、両業務に取り組める」と補足した。
KURASELは、「発注・支払い」「管理費の徴収」「収支・会計」「居住者情報の管理」「共用部管理」「資料保管庫」といった機能を備えている。発注・支払い機能は、清掃会社などへの業務委託の状況を確かめられ、サービスの利用料金も払える。
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