竹中工務店×NTTドコモが建築現場のDXで連携、“ニューノーマル”時代の働き方改善へ産業動向(3/3 ページ)

» 2020年07月17日 05時21分 公開
[石原忍BUILT]
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「AIエージェント」「タスクの管理と共有」「パーソナル管理」で生産性向上

 一方で、個人の活動支援では、「AIエージェント」「タスクの管理と共有」「パーソナル管理」の3つのデジタルアシスタントに支えられた高度な働き方を目標とする。

 このうちAIエージェントは、現状では現場でどこに何があるのか分からず、電話をかけて調べているが、必要な情報をAIに聞けば、適切な答えが返ってくるというソリューション。例えば、図面が更新されると自動で通知される他、誰がどこにいるのかを知りたい場合は、AIに問い合わせれば、「○階○工区にいます」と即答するという。

「AIエージェント」

 タスクの管理と共有は、重要な段取りや期日が決まっているタスクを確実にこなし、遅延や手戻りが起きないようにすることを目的としている。工程管理と作業実施の報告を掛け合わせ、必須の“マストタスク”を抽出し、作業者に割り当ててTo-Doとして管理していく。

「タスクの管理と共有」

 パーソナル管理では、作業員のバイタルデータや位置情報、チャットを集積し、分析モデルを使って、今まで熟練者のノウハウによる“暗黙知”だった個人の高いパフォーマンスの発揮や良好な健康状態の維持を誰でも可能にする。

「パーソナル管理」

 協働と個人の活動のDXによって、建築現場のあらゆる情報がデジタル化されることで実現する生産プロセスの最適化に向けた取り組みでは、「人間行動モデル化」と称したコンセプトを据え、集まったデータを解析することで、いま現場が抱えるリスクや作業員の歩掛りを見える化する。さらに、この可視化した人間行動モデルを比較して、人・モノ・空間の最適化を行い、協働や個人の活動にフィードバックして、予実管理や作業員の効率化といった効率的な働き方の支援に結び付けるのが一連の流れとなる。

「パーソナル管理」

 竹中工務店 篠井氏は、これからの検証にあたり、「建築現場は、用途や地域など、それぞれに特殊性があるため、さまざまな現場で実証を行い知見を集めていく必要がある。両社のDXは、オープンかつスタンダードなことが肝で、業界内で広く使われるようになれば、より巨大なビッグデータとなり、AIでのインシデントの予兆や施工品質の確保にも活用できるようになるはず」と業界を挙げての協力を求めた。

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