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» 2020年07月17日 10時00分 公開

アズビルが解き明かす「BAS」解体新書!(3):【BAS徹底解剖】BAS/BEMSの広がり〜人々の安心・安全、利便性への貢献〜 (2/3)

[粒崎洋一(アズビル プロダクトマーケティング部 セキュリティグループ),BUILT]

■入退室履歴データの活用

 入退室管理システムは、誰がどこに入室(退室)したかを即時に把握するとともに、その履歴を蓄積しています。この即時データや蓄積データを建物利用者に提供し、入退室管理以外の目的に活用される事例が増えています。

(1)在室(出退)表示

 大学や病院などで職員の在室状況、自治体では議員の登退庁、企業では役員の出勤などを知りたいというニーズがあります。入退室管理システムで認証が行われた際に、その情報を表示システムに対して、リアルタイムで送信することにより、それを受けた表示システムが大型ディスプレイなどに名前と状況を表示したり、ネットワーク上のPCやタブレット端末から参照できるようにしたりしています。

在室(出退)表示 出典:アズビル

(2)労働時間管理

 2019年4月から働き方改革関連法が順次施行され、企業には社員の労働時間の状況を「客観的な方法により」把握することが義務付けられました(労働安全衛生規則第五十二条の七の三)。客観的な方法とは、自己申告によるものではなく、タイムカードによる記録、PC使用時間の記録などによるものとされています。

 入退室管理システムに蓄積された履歴データは、この労働時間の状況を把握するための客観的な方法の一つと考えることができます。タイムカードやPCのログ管理システムなどの仕組みを新たに構築するのではなく、防犯や情報管理の目的で導入するシステムを使って同時に働き方改革にも対応することが可能です。

 入退室履歴を蓄積しておくだけでも、法令対応としては十分ですが(労働安全衛生規則では、労働時間の状況の記録を「3年間保存するための必要な措置を講じなければならない」とされています)、より効果的に管理するためには、履歴の中から各従業員の記録を取り出し、毎日の労働時間(在所時間)として勤怠管理システムと連携させる仕組みを作ることも有効です。

入退室管理システムを利用した労働時間管理 出典:アズビル

■認証技術のこれから

 入退室管理システムにおける認証技術の主流は、非接触ICカードですが、普及が始まってからおよそ20年が経過しました。社会的には多様な新技術が次々と生まれていることから、これまでセキュリティ性のためにある程度犠牲にしてきた利便性を、新しいテクノロジーを採り入れることで取り戻すことができると考えられています。

(1)無線通信技術BLE(Bluetooth Low Energy)

 ハンズフリー入退室、すなわち認証に際して暗証番号入力やカード操作など手を使うことなく、入退室を行うための技術として、無線タグが利用されています。人が通る扉だけではなく、駐車場に入る車やフォークリフトなど、工場内で利用される車両に乗った状態での入退室管理に効果的です。

無線タグによるハンズフリー入退室 出典:アズビル

 無線タグが普及し始めた当初は、「RF(Radio Frequency)タグ」と呼ばれ、通信技術としてUHF帯やマイクロ波帯などが用いられてきましたが、近年は「BLE(Bluetooth Low Energy)タグ」が主流になりつつあります。BLEは、消費電力の極めて小さい近距離無線通信技術であり、スマートフォンやノートPCなどの広く普及しているデバイスを標準サポートしている点が特徴で、専用のタグを持たずに認証ができるようになると期待されています。

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