“HoloLens 2”でマンション外壁の打診検査を1人で完了、長谷工版DXが本格始動AR/MR(2/3 ページ)

» 2020年07月15日 05時38分 公開
[石原忍BUILT]

要求水準の高まりに、現場の生産性改革で対応

 建設業界の足元を見ると、「現地生産」「一品生産」の壁があり、自動化や効率化が進まず、マンション維持管理の現場は高齢化で人材不足に陥りつつある熟練技術者にいまだ依存している状態にある。さらに、2008年の建築基準法施行規則の一部改正で、10年ごとに歩行者に危険性のある外壁の全面打診調査が義務化になるなど、安全基準の高まりや施主のニーズが多様化していることで、検査項目が増加して現場の負担になっている。加えて昨今は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、リモートワークや非接触の働き方改革に対しても早急な対応を迫られている。

 長谷工グループ内では、2016年に最先端技術を採り入れることで、数々の問題を解消することを目的にデジタルトランスフォーメーション(DX)専任のプロジェクトチームを結成。2018年には組織を拡充し、2020年に全社展開へと至り、今回その成果としてAR 匠RESIDENCEを実用化した。

AR 匠RESIDENCEを開発した背景

 AR 匠RESIDENCEの使用方法は、あらかじめ物件情報をクラウド上に登録しておく。現場ではHoloLens 2を装着した検査員がQRコードタイプのマーカーで位置を合わせた後、現実空間に図面を投影して、検査を行っていく。打診検査の結果は、AR上のメニュー画面からタイル1枚ずつの不具合状態と写真をデジタルデータで記録し、後でAzure上で物件と調査日を選択すると、報告書が自動で生成される。

AR 匠RESIDENCEのフロー
AR 匠RESIDENCEのフロー
AR 匠RESIDENCEのフロー

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