太平洋セメントが大成と3Dプリンタ用新セメント部材を開発、6mの橋を実現3Dプリント

太平洋セメントと大成建設は、複雑な形状の構造部材を3Dプリントできるセメント系プレミックス材料を開発した。

» 2020年06月29日 06時00分 公開
[BUILT]

 太平洋セメントは、建設用材料に求められる性能を満たし、さまざまな環境温度で、複雑な形状の構造部材を安定的かつ短時間で高精度に3Dプリンティングできる新しいセメント系プレミックス材料を大成建設と共同で開発した。

外気温度に左右されず、短時間で高精度に自動で3Dプリント

 太平洋セメントでは、ME(材料押出し)方式の3Dプリンティングに必要な性能をコントロールする無機系材料技術のノウハウを活用することで、国内初の3Dプリンタ用セメント系プレミックス材料「デジミックス」を既に実用化している。

 今回、建設用材料に必要な強度発現性などの性能が確保できるように、速硬成分及び添加剤などの最適化を図ることで、さまざまな環境温度において安定的に造形できる技術を見いだした。この技術をベースにして、大成建設と新たなセメント系プレミックス材料を共同開発した。

 新開発の3Dプリント用マテリアルは、デジミックスの発展形となるもので、3Dプリンタ「T-3DP(Taisei-3D Printing)」で用いると、建設用に設計された部材を外気温度に影響されることなく、短時間で高精度に自動製作することが可能になった。

「T-3DP」による造形 出典:太平洋セメント

 T-3DPは大成建設が、アクティオ、有明工業高等専門学校及び太平洋セメントと開発した建設用3Dプリンタ。実証実験では、新材料とコンクリート構造物で一般的に用いられるプレストレストコンクリート技術とを組み合せることで、複雑な形状の構造部材を完成させ、歩行可能な6メートルの端を構築した。

歩行可能な“橋”(長さ:6メートル) 出典:太平洋セメント

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.