ヒューマンタッチ総研は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大を受け、国内の建設業でも普及が進むテレワークについて、独自に調査した結果をまとめた。
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ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は2020年4月2日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大を契機とした建設業における“テレワーク”導入の方向性について、独自レポートを公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大が建設業にも多大な影響を与えている。建設技術者や建設技能工に感染者が発生した場合には、着工の遅れや工事の一時停止などで多大な影響を被ることになり、とくに中小の建設業各社にとっては、“存亡の危機”に立たされる危険性があることも否定できない。
このような状況の中、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、テレワークを活用した在宅勤務が多くの会社で導入されている。本レポートは、建設業におけるテレワークの導入状況を検証するとともに、新型コロナウイルスの感染拡大という状況を踏まえ、今後の建設業におけるテレワーク導入の方向性について検討する。
テレワークとは、情報通信技術を活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方をすることであり、出勤しないで自宅を就業場所とする「在宅勤務」、移動中や建設現場などを就業場所とする「モバイルワーク」、固定されたオフィス以外の遠隔勤務用のオフィスを就業場所とする「サテライトオフィス勤務」の3つの形態に分けられる。
業務の特性に合わせ、これらの働き方を活用することで、建設業においても新型コロナウイルス感染のリスクを低下させることが可能であると考える。例えば、設計情報をクラウドで共有することにより、設計技術者が在宅で設計業務を行ったり、Web会議システムを使うことで、在宅勤務者同士で打ち合わせを実施したりすることで、感染リスクを下げることが見込める。
また、施工管理のような現場での作業が中心となる職種についても、日報の作成、現場写真や図面の管理といった事務仕事をオフィスに戻ることなく、建設現場や自宅で行うことにより、移動による感染リスクを下げることができる。
総務省の「平成30年(2018年)通信利用動向調査」でテレワークの導入率を産業別にみると、最も導入率が高いのは情報通信業の39.9%。次いで金融・保険業が37.6%、製造業が20.8%、卸売・小売業が19.9%、建設業が18.8%と続く(図表1)。
建設業は全体平均(19.0%)と同水準だが、過去の推移を見ると2016年9.5%、2017年12.1%、2018年18.8%と年々上昇しており、この2年間で建設業におけるテレワーク導入が急速に進んでいることが分かる(図表2)。
背景には、建設業では時間外労働の多さや週休2日制導入の遅れなどからワークライフバランスの改善が大きな課題になっており、テレワーク活用による業務改善の必要性が高まったことがあるのではないかと推察できる。同時に、厳しい人手不足で生産性向上が必須となったことも、テレワーク活用を後押しした。
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