ニュース
» 2020年03月20日 09時00分 公開

産業動向:国内のホテル市場、強い投資意欲で2018年度は7年連続プラス成長

矢野経済研究所は、国内のホテル市場を分析したレポートを公表した。2019年度のマーケットは、レポート公表時点の2020年1月時点で、新規ホテルの開業や既存ホテルのリニューアルが相乗効果となり、2018年度と比較して5.8%増の2兆1468億円にまで広がると予測している。

[BUILT]

 矢野経済研究所は2020年1月、国内のホテル市場を調査し、2018/2019年度の市場規模や参入企業の動向、将来展望をまとめたレポートを公表した。

2018年度は7年連続のプラス成長で、過去最高の水準

 2018年度の国内ホテル市場(事業者売上高ベース)は、前期比5.6%増の2兆291億円となり、7年連続のプラス成長で過去最高の水準となった。国内旅行の堅調や企業の出張需要に加え、訪日外国人旅行者の急増が好調な宿泊ニーズを大きくけん引した結果となった。

ホテルの国内市場規模推移 出典:矢野経済研究所

 ここ数年、ホテルの国内市場は、2008年9月のリーマンショックをきっかけに大きく落ち込み、2011年3月に発生した東日本大震災がそれに追い打ちとなって低迷が続いていた。

 しかし、2012年度以降は経済環境が好転したことに加え、長らく低迷が続いていた国内観光が復調。さらに、国を挙げての誘致活動などで、外国人観光客が大幅に増加した。人々の消費が耐久財などの「モノ消費」から、旅行や観光などの「コト消費」へと移ったことも、ホテル業界にとっては追い風になったと分析する。

 近年のトレンドとして、現在、ホテル業界が最も注力している集客策は、インバウンドに向けた取り組みと指摘する。とくに、2020年の東京五輪に向け、今以上の増加が期待される訪日客を取り込むため、新規出店や大型改修など、投資を拡大させる動きが目立つ。東京都心部を中心に、外国人客の増加を見越した外資系高級ホテルの出店が続いており、国内の事業者側にも、海外の有力ブランドを誘致したい要望もある。一方で、国内ホテルでも、訪日客が多く訪れるエリアをメインに、新規出店は加速傾向にあるとしいている。

 また、ホテル事業者は、単価の高い上層階の改修や訪日客を意識して複数人数で利用できる客室へのリニューアルなどを積極化。日本の魅力を感じてもらえるように、和風の要素を採り入れた改装も多くなっている。外国人旅行客はファミリーでの利用が多いため、2人以上で利用できる客室を増やして、取り込むことをねらっている。

 客室の改装とともに、外国人客などから要望の多い無料Wi-Fiの導入なども進められている。ベッド脇に多言語対応のタブレット端末を配置し、照明や空調の調整からカーテンの上げ下げ、ルームサービスの注文などができるサービスなどを展開するホテルも出始めている。

 訪日客を呼び込む戦略では、海外でのマーケティング活動も活発化している。セールス拠点として海外営業所を開設したり、海外ホテルと提携して相互送客する動きもある。国外で開催される旅行博や商談会などへの参加も増えており、アジアの新興国などにグループホテルを出店し、急拡大するアジア諸国の旅行需要を囲い込むと同時に、グローバルでの知名度を上げ、訪日時に利用してもらおうという戦略を採るチェーンもある。

訪日客をいかに取り込むかが最重要な課題に Photo by Marten Bjork on Unsplash

マイナス要因はあるものの、長期的には需要は堅調

 2017年度には宿泊単価の高騰によるホテル離れが一部で見受けられたことと、カプセルホテルやゲストハウス、民泊などといったホテル以外の宿泊施設の整備が進み、需要の多様化が進んだことで、一時的な伸び悩みの状況もみられた。2018年度には、地震や台風などの自然災害が相次ぎ、関西や北海道などのホテルでは集客に影響を受けたホテルが少なくなかった。

 ただ、そういったマイナス要因はあったものの、市場全体でみるとホテルへの需要は引き続き堅調に推移している。東京都心部をはじめ、全国の主要都市や有力観光地などでは、ホテルの客室稼働率は高水準の推移を続け、客室単価も高止まりにあるとみている。

 特に、新規ホテルの開業が相次いだことに加え、既存ホテルもリニューアルを積極化させたことで市場のキャパシティが拡大、客単価の底上げにも結び付いていることが、市場拡大の要因となっている。2019年度以降も各種の国際的な大型イベントが続くこともあり、今後も訪日客を中心とした宿泊需要の増加が見込めるほか、国際会議や学会などMICEにも期待できる。そのため、ホテル市場は今後についても、当面はプラス成長を続けていくものとみられると予測。2019年度の市場規模については2020年1月時点の予想で、前期比5.8%増の2兆1468億円まで拡大すると予測している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.