熊谷組が、新木造CLT床の開発に取り組んだ背景には、今後木造建築の需要が中大規模にまで波及すると予測されていることがある。
だが、中大規模の建築物に木造を適用するためには、防・耐火性能を確保することが重要とされる。一般に耐火建築物の主要構造部には、耐火性能が要求されるため、それぞれの使用箇所に適した耐火性能を備える部材を利用する必要がある。
こういった中大規模の木造建築物に存在する問題を踏まえ、熊谷組は、全建築物で木質部材が使えるように、柱と梁(はり)は1時間から3時間まで、床と壁は1時間から2時間までの耐火性能を持つ木質耐火部材開発と大臣認定取得を目指している。
2019年3月に発表したCLT壁でも1時間と2時間の2種で耐火構造を備えていることについて大臣認定を取得しており、CLT壁と新開発のCLT床とを組み合わせることで、1時間耐火構造であれば最上階から4層まで、2時間耐火構造であれば最上階から全ての階において利用することが可能となった。
現在、熊谷組は、1〜3時間の耐火構造を盛り込んだ柱と梁について、大臣認定を1年以内に取得することを目標としている。今後、CLT床を含む、柱、梁、床、壁の1時間から3時間の木質耐火構造を有した部材を「断熱耐火λ-WOOD(ラムダ-ウッド)」の名称で展開するとともに、優れた中大規模の木造建築を実現するために、研究開発を進めていく方針を示している。
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