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» 2020年03月13日 07時00分 公開

パナソニックが考える「2020以降の街づくり」:独自開発の「真空断熱ガラス」が欧州で高評価なのはなぜか?事業撤退したPDPメンバーのリベンジ (2/3)

[遠藤和宏,BUILT]

欧州の市場規模は約4200億円

 欧州をメインターゲットにした要因について、「高断熱ガラス(Low-E複層ガラス)の市場規模は世界で約1兆円。内訳は欧州が約4200億円、北米市場が約3200億円、アジア・中国市場が3000億円。全体の4割を占める欧州市場では、高性能な真空断熱ガラスが求められていた」(木村氏)と説明した。

世界における高断熱ガラスの市場規模 提供:パナソニック ライフソリューションズ社

 欧州市場で売り上げが好調な原因については、「欧州は築年数が長い歴史ある住宅が多く、サッシ交換不要で取り付けられる薄い真空耐熱ガラスの需要が多分に存在していた。AGCと共同開発した真空断熱ガラスはマーケットのニーズを満たしていたため、想像以上に売れている」。

 「また、従来製品では当たり前だった排気孔(はいきあな)を独自技術で無くし、封止部が不必要になったデザインが欧州で高い評価を受けており、販売促進につながっている。部品の1つである真空付着材に鉛を使用していないので、欧州の電子・電気機器向けの環境規制“RoHS指令”にも抵触しないため、デジタルサイネージなどにも使える可能性がある」と続けた。

 この他の優位性として、断熱性能の指標となる熱貫流率(U値)がトリプルガラスに相当する0.7ワットパー平方メートルケルビン(高断熱型)で、厚みはトリプルガラスの5分の1、重さは3分の2であることが挙げられている。

一般的なトリプルガラス(左)とGlavenir(右)の性能 提供:パナソニック ライフソリューションズ社

 複層ガラス製造時に、これまで必要だった2つのガラスが重なるスペースを減圧する排気孔を無くした工夫について、「一般的な窓ガラスメーカーは個々に窓用のガラスを生産しているが、パナソニック ライフソリューションズ社では、PDP由来の技術“マザーガラス多面取り工法”を利用している」。

 「マザーガラス多面取り工法は、大きめに作成したマザーガラスからさまざまなサイズの真空断熱ガラスを切り取るため、製品に使わない部分に排気孔を設けられ、特殊切断工法で、2枚のガラスを同時に切断できる」(木村氏)。

マザーガラス多面取り工法(左)とマザーガラス切断に用いている特殊切断工法 提供:パナソニック ライフソリューションズ社

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