運転手や誘導員の誤認による誤った車両搬入を解消するために、このほど、赤外線カメラや専用PCなどを用いて、車両誘導を自動化するシステムを開発した。
大林組は2019年12月25日、赤外線カメラの映像から車両のナンバープレートを認識する技術を応用した車両管理システムを開発したことを発表した。
システムは、搬入口に取り付けられた赤外線カメラが前を通過した車両を撮影し、専用PCがこの画像データからナンバープレートを読み取り、事前に入力したデータとひも付け、車両ナンバーと積荷材料をカメラ上部に設置された掲示板へ瞬時に表示する。運搬先の受け入れ設備に設置した掲示板も連動して点滅し、運転手は行き先を確かめられるため、誘導員によるヒューマンエラーを解消できるだけでなく、車両の一時停止が不要となり、車両運行の効率化が図れる。
既に、このシステムは、大林組が構想するダム情報化施工技術「ODICT」に集約されたテクノロジーの1つとして、水資源機構が発注した三重県伊賀市で実施されている川上ダム本体建設工事で実用化されている。この工事では、誘導員を配置せずにシステムのみで車両管理を行い、10日間で約1700台の車両誘導を実現したという。
システム開発の要因は川上ダム本体建設工事における砕石の搬入計画にあるという。この工事は、使用する骨材の全量を施工現場周辺の砕石工場から運び入れるプランに基づき、12種類の砕石などを1日160台の車両が約2年にわたり運搬することを想定していた。
そのため、工事の進捗に合わせて運ばれる骨材の種類や数量が変化するとともに、場内の運搬先も車両により異なるため、運転手や誘導員の誤認によるトラブルを解消し、確実な車両誘導を進めるには多大な労力が必要となることが予想されていた。大林組はこういった課題を解決するために今回のシステムを開発した。
今後、大林組では、このシステムを多くの運搬作業を要するさまざまな工種の現場に適用することで、省人化や生産性の向上に努めていく。
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