令和元年度i-Construction大賞、ICT施工支援の静岡県など地方自治体ら25団体を選出i-Construction(1/3 ページ)

国土交通省は、令和元年度のi-Construction大賞で、建設現場の革新的な取り組みを行った25団体の受賞者を発表した。ICT土工やBIM/CIM、点群などの導入事例が、i-Constructionの普及を後押しする先進事例として多数選出された。

» 2020年01月09日 05時19分 公開
[石原忍BUILT]

 令和元年度の「i-Construction大賞」受賞者が2019年12月25日、発表された。2019年度は国土交通省発注工事だけでなく、地方公共団体などにも対象を広げ、国土交通大臣賞4団体と、優秀賞21団体の計25団体が選ばれた。

豊蔵組のICT建機にツインヘッダを装着した活用例が受賞

 i-Construction大賞は、建設現場の生産性向上を図るi-Constructionに関連する優れた試みを表彰して、ベストプラクティスとして広く紹介し、横展開するため、2017年度に創設された表彰制度。

 2019年度の対象は、2018年度中に完成した国や地方公共団体などの発注工事/発注業務を受注した元請け企業や地方公共団体、「i-Construction推進コンソーシアム会員」。選考委員会では、有効性・先進性・波及性の観点から審査し、最終的に3つの部門で25団体を選出した。

 3部門の一つ、工事業務部門では、最高賞の国土交通大臣賞に、北陸地方整備局 金沢河川国道事務所が発注した「H29・30能越道 長沢道路その7工事」を施工した豊蔵組が選ばれた。

 工事概要は、能越自動車道・輪島道路11.5キロのうち、輪島市三井町長沢地先で延長約420メートルの道路工事を施工。工期は2017年08月01日〜2018年07月31日で、請負金額は2億1416万4000円。

 豊蔵組は、岩が露出する法面整形で、全国初のツインヘッダを装着したMCバックホウを使用した。これにより、掘削位置の把握(制御)が可能となり、大幅な施工性・品質の向上が図られた。

 ICT建機のアタッチメントをバケットからツインヘッダに付け替えるだけで済むため、今後は、既存のアタッチメントとの組合わせで、新たな施工方法も開発される可能性があると評価された。

豊蔵組がICT建機を導入した「H29・30能越道 長沢道路その7工事」 出典:国土交通省

 他の受賞者では、東洋建設、矢作建設工業、オリエンタルコンサルタンツ、福留開発が先進的なCIM事例として優秀賞となった。東洋建設は、北海道函館市の港湾工事(岸壁ドルフィン工事)で、CIMの岸壁モデルと、レーザースキャナーで取得した3D周辺構造物を融合して、広域で詳細な3Dモデルを作成。杭の打設位置や作業船アンカー位置の座標管理、施工状況の可視化などで、人身・物損事故ゼロが実現した。

 矢作建設工業は、愛知県名古屋市中川区の高速下部工でCIMを適用。現場は、交差点と車道に囲まれ狭く、上空には歩道橋、地下には共同溝が近接している厳しい条件下にあった。そのため、レーザースキャナーでCIMモデルを作成して、周辺構造物への干渉を考慮した建設機械の選定や関係者への危険箇所の説明などに役立てた。

矢作建設工業が受注した「2016年度名二環かの里1交差点南下部工事」でのCIM活用 出典:国土交通省
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