オートデスクは、新たな可能性の追求をテーマに、コロナ禍でも、プロジェクトメンバーとステークホルダーが建設計画に対して、コミュニケーションとデータの共有が図れるプラットフォームの他、BIMなどの設計データを作れるだけでなく、作成したBIMを維持管理にも利活用できるデジタルツインプラットフォーム「Autodesk Tandem」の開発を進めている。
オートデスクは、建設分野のユーザー事例や同社の最新ソリューションを紹介するプライベートイベント「Autodesk University(AU)2020(会期:2020年11月18〜20日)」をオンラインで開催した。
会期中に繰り広げられたセッションの中から、「AUリーダーシップ パネルディスカッション-JAPAN」を採り上げる。
パネルディスカッションでは、オートデスク ブランディングマネジャー 清水ヒデ氏がコーディネーターを務め、パネリストとして、オートデスク 代表取締役社長 織田浩義氏、シニアマネジャー テクニカルセールススペシャリスト 加藤久義氏、AECセールスデベロップメントエグゼクティブ 濱地和雄氏、デベロッパーネットワーク ネットワーク マネジャー 伊勢崎俊明氏が登壇し、現状の取り組みや今後の方針ついて紹介した。
冒頭、織田氏は、「AU2020のテーマにも掲げているが、“新たな可能性の追求”が当社のミッションだ。ミッションでは、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、集まらず、外出せずとも、仕事をこなせる業務プラットフォームを開発し、企業のBCP対策に貢献していく」と語った。
さらに、「コロナ対策となる業務プラットフォームのキーワードは、“ワークフロー・コーディネーション”だ。ワークフローコーディネーションとは、新たな業務プラットフォームでの働き方改革を指す。業務プラットフォームは、各社が立ち上げた多様なプロジェクトの成功に役立つように、企業内のプロジェクトメンバーだけでなく、外部のサプライヤーやベンダーなどのステークホルダーをリモートでつなげ、デジタル空間でプロジェクトに関する作業を行えるようにし、将来的には、プロジェクトに関連する業務を自動化できるようにする」と補足した。
また、設計作業などのさらなる効率化を目指し、“オンデマンド・カスタマイゼーション”と“バーチャル・クリエーション”といったキーワードに沿ったソリューション開発も手掛ける。
オンデマンド・カスタマイゼーションについて、織田氏は「データという資産に新たな価値を加えるものとなる。オンデマンド・カスタマイゼーションは、時間をかけて作成したBIMモデルと3Dデータを、設計部門の中だけでなく、購買部門や販売部門などでも活用できるようにするとともに、ニーズに応じたカスタマイズが行えるようにWebサービス向けAPI“Autodesk Forge”で環境作りを行う」と説明した。
もう一つのバーチャル・クリエーションでは、現実の建物をデジタルデータ化するために円滑に行えるソリューションの実現を目標としている。
次に登壇した伊勢崎氏は、Webサービス向けAPIのAutodesk Forgeに言及した。Forgeは、HTMLやJavaScriptといったWeb向けプログラミング言語をベースにしたWeb上のデザインデータを活用するために開発されたWebAPIで、Web上にある地図やVR/ARなどを連携させられる。
「昨今、ファイル形式が異なる複数のデータを1つのファイル形式に変換する際に、文字化けなどのエラーが生じている。そこで、当社では、Forgeで、互換性の低い情報である“サイロ化されたデータ”をさまざまなシステムとつなぐために、Forgeの改良を進めている。具体的には、Forgeで、サイロ化されたデータをクラウドに、正しくコンバージェンス(収束)させると同時に、1つのダッシュボードにまとめ、多様な情報の一元管理と共有を成し遂げる。将来的には、Forgeで、AutoCADやRevitなどで作成したデータを専用ソフトが無くても分析や閲覧などができるようにし、協業するサードパーティーが各データを活用しやすくして、業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させる」(伊勢崎氏)。
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